い、今、あの岸優太君に、抱かれてますが…
嘘でしょー!?!?
『あの…ゆ、優太君ッ……?』
優太)わかってる。俺なんか、あなたちゃんの1番にはなれない。
けど、俺、あんな最低な事するやつに、負けたくねぇ。俺に、守らせてくれないか?あなたちゃんを…。
ど、どういう事でしょうか。
ただいま、パニック状態です。
『あの……、え?』
優太)俺、あなたちゃんに一目惚れしちゃって…。けど、廉の彼女だから、諦めようと思った。
でも、今あなたちゃんを離したら…少しのチャンス逃しちゃうと思うんだ。だから…
え、ひ、一目惚れ……?
いやいやいや、おかしいでしょ。
自分なんか……ねぇ…。
廉の彼女に奇跡的になれた。って言うのに、
推しの岸優太という方にそんな…
『え、いや…私なんか…!
一目惚れなんか、ありえないですよ?きっと、あの、違う感情じゃ……?
もしかしたら、私が岸担っていうのを知って、嬉しくて…だから、一目惚れなんかありえn…』
優太)うるさい…ッ。
そう言って、私の口に手をあてる。
優太)ほんとに、あなたちゃんが好きです。
『え、…っとぉ…ッ』
え、告白…?
そりゃあ、嬉しいけど…。
うちには廉が…
いや、廉もいない。
廉とは、バイバイしちゃったもんッ…
バイバイ、しちゃったんだ……
『私は…ゆ、優太君の気持ちには、こたえられない…ごめんなさいッ』
優太)やっぱ、1番は廉だよな…。
『廉は…廉とは、バイバイ…しちゃったもん。だ、だから……ッ……』
優太)泣きたいんだろ?大丈夫じゃねぇだろッ?たとえあなたちゃんの1番になれなくても…俺が守る…ッ…!
『グスッ…ゆ、優太く、ん…ッ…』
ギュッ
強く強く、抱き締めてくる。
彼女でもないのに…。
けど、今は優太君の腕の中が気持ち良くて…
優太)俺、あなたの側で、ずっと守るから…
急にあなたなんて、呼び捨てにして…
ただただそれに、キュンときちゃって…
そんな事考えてたら、
チュッ
『え……』
優太)俺が守る。あ、今のはちょっと、我慢出来なかったわ。
え…
ち、チッス……
キス!?!?
えっと……いや、やばい。どうしよ。
スッ
ん?なに?
いや、今…目の前が薄暗く…
「俺の彼女なんだけど…?」
『れ、廉っ!?』
優太)お前……ッ
なんで、居るの…?
今、目の前に、
優太君の方を向いている、後ろ姿の廉が立っている……
私の、彼氏が…いる…ッ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。