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暗い研究所の中を進み、俺達は1つの扉の前にたどり着いた。ガチャリ、とドアノブを回し、中の様子をうかがう。広がっていたのは、壁も床も真っ赤な部屋だった。
ガチャッ
部屋に入ったとき、シェルが鼻をおさえた。
鼻を突く異臭と真っ赤な色も相まって、薄気味悪い…
キィィィィ ガチャン‼️
勝手にしまった扉に肩を震わせ、振り返る。
そして気づいた。
何故この部屋が、こんな異臭で、真っ赤なのか……
扉を開けてから、ずっと前しか見ていなかったが、扉がある壁際には、たくさんの○体が乱暴に寄せられていたのだ。
シェルの顔が恐怖に染まる。
反応を見る限り、シェルはこの部屋の存在を知らなかったらしい。
ッ コツッ コツッ コツッ コツッ
俺達のものではない足音に振り返ると、先程はいなかった人物がこちらに歩いてきていた。
あの男………今どこからっ⁉️
コツッ コツッ カツンッ
男が止まる。
そして、顔を上げた。
男が口を開く。
あっ遊び場だとっ⁉️
人を殺すような場所を遊び場とするなんて…
こいつっ、まともじゃない‼️
男は、ずっと俺の後ろに隠れていたシェルに気づき、ニヤリと笑った。
…は?
え?ちょっと待って?え…?
この二人親子?
2人の関係をよく知らない俺でもわかった。
この2人は親子じゃない。少なくとも、血の繋がった親子では、ない。
2人はきっと、オヤコだ。
2人の間に割って入り、俺はシェルの手をとって、男と距離をとった。
マジ……かよ……
なんだコイツら。
ゾロゾロゾロゾロ変な奴らばっか出てきたぞ?
降参?俺が?
ねーよそんなん、俺の辞書には。
そう言って、俺は男を指差した。
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タタタッ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。