第28話

番外編 溺愛
277
2021/09/23 12:58
これは、あなたがまだ七つの時の話である。
あなた

花御ー!

花御
『どうしました、あなた?』
あなた

漏瑚がいじめてくるっ!

泣きながら飛びつくあなたを優しく撫でながら、後からあなたを追いかけてきた漏瑚に花御は言った。
花御
『漏瑚、あなたを怖がらせてはいけないと何度言ったらわかりますか』
漏瑚
そいつがいつまで経っても戦えるようにならんからいけないのだろう!
花御
『今まで人間に育てられたあなたにいきなり人間を殺せと言う方が悪いでしょう!』
偽夏油
まあまあ、2人とも落ち着いて。
あなたが怖がってる
陀艮
ぶー
後からついてきた夏油と陀艮は喧嘩を始めた花御と漏瑚をなだめる。
漏瑚
全く…お前らはあなたを溺愛しすぎだ!
偽夏油
お前らとは失礼だね。
君だってあなたをずいぶんと可愛がっているじゃないか
漏瑚
儂が、可愛がってるだと⁉︎
ふざけたことを抜かすな!
陀艮
ぶー…ぶーぶぶー
偽夏油
まあまあ、そうイライラしないで
ただでさえこんなに暑いのに君が怒ったら余計熱くなる
花御
『あなたはまだ人を殺すことなんて、覚えなくていいんです』
偽夏油
まあ、私もそう思うよ
漏瑚
貴様らがいつまでもそんなんだと、こいつはいつまで経っても強くなれん!
偽夏油
漏瑚、私たちはまだあなたは強くならなくてもいいと言っているんだ。
こんな小さい頃から人を殺すことを覚えさせたら、この子が大人になった時に取り返しがつかなくなる
漏瑚
…ちっ
勝手にしろ
そう言うと漏瑚は下水道を出ていってしまった。
花御
『あなた、大丈夫ですか?』
何も言わず、ただ花御にしがみついているあなたを見て夏油は言った。
偽夏油
あなた、漏瑚の言ったことは気にしなくていいよ。
あなたは自分のペースで強くなればいいんだ。
強くなることだけにこだわらなくていい
陀艮
ぶーー
偽夏油
まだ、強くならなくていいんだ
夏油はもう一度言うと下水道を後にした。
花御
『あなた、今日は私たちも帰ります。また明日、遊びましょうね』
あなた

うん…

陀艮
ぶーぶ!

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