第11話

セカンドゲーム(4)
65
2019/06/13 09:39
私の目線が、揺れる。


背中に当たった手の感触はほんの一瞬。


顔が床につきそうになる。
いや、つく。




どうしたら、いいのか。



やばい、死ぬっ!


どうしたらいい??






振り向こうとしている先輩が目に入る。
ふり、向か、ない、で。

死にたくない。

























死にたくない、死にたくない、










































まだ、死にたくない。
巴坂 絢都
いいよ、死なせない。

















え?








『ゴンっ!!』
[3-4F]チーム=リーダー
だ〜!!!!
ついた右腕が床に思いっきり打ち付けられる。



私、死んだ。










痛いのは嫌だな。

そう思いながら私は目を思いっきりつぶる。







死にたくないけど。

ゲームオーバーになったのは私だから。





麗仁ちゃん、ありがとう。


友達になってくれて。
うん、ありがとう。

















カメラセンサー
ピ、ピ、ピーーー
[2-3E]チーム、ひとリあウト
機械音が聞こえて私は更に思いっきり目を瞑る。














あれ、あれ?
私、死んでいない?








うっすら目を開ければ、自分のTシャツについているのは血??


誰の血?






首をさわれば、私の首からは血が流れていない。

じゃあ、いったい。


思わず下を見れば…、、、、

















時雨 梨緒
あ、やと?
時雨 梨緒
絢都が、なんで死んでるの?
なんで、なんで、私が動いたんじゃ。
成瀬 聖
落ち着け、時雨しぐれ、ゲーム中だ。
成瀬の冷たい…。

冷静な声に私は少しばかり落ち着きを取り戻す。


いや、取り戻してはいない。
正確には、物理的に前を向き直した、だけ。


でも、なんで。
[3-4F]チーム=リーダー
ダルマさんが〜、
成瀬 聖
タッチ。
カメラセンサー
ピ、ピ、ピーーー
鬼がタッチされタことヲニンしキしましタ。

機械音が鳴り響き、私は膝から崩れる。

自然と出た一筋の涙は、私の頬を伝って。

そこからは、目に溜まった涙が溢れ出した。
なんで、なんで、絢都が、






なんで絢都が死んだの?
[3-4F]チーム=リーダー
あちゃー!タッチされちゃったー!
3年のリーダーの先輩の無駄に明るい声が聞こえて、気持ち悪い。

そんな明るい声聞きたくない。



一度でた涙は止まらず。

絢都が、、、




彼が最後に放った『いいよ、死なせない。』







その一言が私の脳裏から離れてくれない。
彼の顔が私を呪うように現れる。








なんで、、私の心の声が絢都に聞こえた?
なんで?


私の足元で首からを血を流し、既に息絶えている絢都を、私はゆすり続ける。


息が吹き返すことがないこともわかっている。
もう一度目が開けることがないことも知っている。
絢都に、会うことができないことも理解はしている。






私の脳は理解してるんだよ?

でも……。

心が拒んで受け入れてくれない。

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