第8話

セカンドゲーム(1)
57
2019/06/10 11:39
アスカ
はーい!みんな注目!
第2 セカンドゲーム始めるよ!
アスカの声で、休憩は終わりを告げる。

ゲームが始まって3時間ほど。


未だ午前中なのだけど、私にはもう1日も経ってしまった気がする。
アスカ
  第2  セカンドゲームは…、、
『ダルマさんが転んだ』だよ!
成瀬 聖
『ダルマさんが転んだ』…か。
私の隣から成瀬の呟きが聞こえた。
何か、違和感のある呟きだったが、私はアスカに集中し直す。
アスカ
ルールはみんなの知っている『ダルマさんが転んだ』と同じ!

ーーーダルマさんが転んだのルール!
➀それぞれ違う学年の3チームが戦い、だるまさんがころんだは3ターン行われる。
➁鬼をタッチしたらそのターンは終了。
ただしタッチされても鬼は死なない。
➂それぞれのチームのリーダーが、自らのチームが鬼のターンの時に鬼を務め、鬼は頭にカメラをつけ、振り向いた時にそのカメラに『動いた』と認識されたものは死んでしまう。
➃3チームの中で最終的に生き残っている人が多いチームの勝利で、生き残っていても負けたチームであれば死んでしまう。
➄同数の場合は、もう一戦行う。





アスカの説明したルールと、私たちがよくやるルールとの違いは、動いたら『負け』ではなく、『死ぬ』こと。
アスカ
でね!ランダムでそれぞれ組み合わせたから、3チームで集まってね!
アスカの声と同時に、体育館に巨大パネルが現れ、対戦チームが組まれた表が表示される。




えっと……、、私たちは[2-3E]チームだから…、、

[3-4F]チームと、[1-1H]チーム…の人たち…。





[3-4F]チーム
[3-4F]チームです。
[1-1H]と[2-3E]の人ー、、!
3年生の先輩らしき人の呼びかけで私たちは、声の方に向かった。
[3-4F]チーム=リーダー
私が[3-4F]のリーダーだよ。
ほら、一年メソメソしてても仕方ない!
そう言ったのは、私たちを呼んでくれた3年生チームのリーダーの先輩だった。


この人…、、負ければ自分が死ぬってわかっててこんなこと…、、してるの?
成瀬 聖
俺が[2-3E]チームのリーダーです。
[1-1H]チーム=リーダー
ぼ、僕がリーダーです。
成瀬が名乗り出た後、一年生のリーダーが鼻をすすりながら名乗り出た。
一年生チームの4人の目が少しばかり赤く腫れている。
きっとさっきの休憩時間に、泣いて泣いて。


したのだろうけど……、、このゲームは泣いて勝てるわけじゃない。
泣いて生き残れるわけがないんだよ。





そんなことを考えていれば、私は自分が壊れていることに気がついてしまった。
私、、、





こんなに冷たい人だった…、のか。
前までの、

ゲームが始まる前までの私はきっと、こんなに冷静に考えていられることなんてなかった。

なかったはずなのに。

私…、、










時雨 梨緒
わっ!
右肩を叩かれ、後ろを振り向けば、肩を叩いたのは絢都だった。

絢都は私の頭を軽く撫でると、にんまりと微笑んでくれる。
巴坂 絢都
どうした?梨緒?
時雨 梨緒
な、なんでも…ないよ?
少しだけ考え事してた…だけ。
巴坂 絢都
……
巴坂 絢都
まあ、いいや。
梨緒、約束してほしいことがあるんだ。


沈黙の末に、口を開いた絢都は、凄く真剣な表情で。
咄嗟に彼を好きになった時のことをおもいだしたが、すぐにその記憶を封じ込めた。

今、そんなことを考える暇はない。


暇はないのだけど。
時雨 梨緒
約束…?
巴坂 絢都
うん、ゲームが終わったら、俺と…付き合ってよ。
時雨 梨緒
えっ、、


暇はないのだけど、頭は絢都のことでいっぱいだ。
このままじゃ、私は死ぬ。


浮かび上がってくる不安と恐怖をかき消すように、私の手が絢都の大きな手に包み込まれる。


絢都の顔を見上げれば安心する顔。


だけど、私の不安はぬぐいきれない。









『なんでか』はわからないけども。
東雲 麗仁
げ、げーむ、始まりますよ?
東雲さん…いや、麗仁ちゃんに呼ばれ、私は我に帰る。
絢都の手は繋がれたままで。





始まるのは恋とか、そんなんじゃなくって。




デスゲーム。
第2 セカンドゲームが始まる。

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