第13話

愛する人の守り方(巴坂絢都の場合)
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2019/06/15 06:50
ーー愛する人の守り方














俺の場合は……、


『自分を犠牲にしてまで守り抜く』
時雨 梨緒
す、す、っ…
巴坂 絢都
す…?
時雨 梨緒
好きです…っ!!
付き合って、くだ、さいっ!
俺が愛する人……、、時雨梨緒との物語の始まりは梨緒の告白から始まった。

同中出身で、仲が良かっためあり繋がりで知り合ったのがきっかけだった。
ほぼ初対面でされた告白。
巴坂 絢都
ごめん、俺、時雨さんのこと全然知らないから……友達からでもどう?
俺にとって告白されることが特別珍しいことでもなくて、いつもは『ごめんね』の一言で終わらせていたのに。

俺は梨緒との関係を断ちたく無かった。


何故だろうか。
無性に梨緒のことを知りたかったんだ。
時雨 梨緒
ぜ、ぜひっ!

『人見知り』だと言う梨緒は、話してみればとても面白い子だった。



カレーは中辛じゃないと嫌。

アイスは抹茶味がお気に入り。

麦茶より緑茶派。





梨緒のことを知れば知るほど、俺は梨緒に魅了されていく。

いつだったか。
梨緒のことを『好き』だと感じ始めたのは。



それが『愛している』と思い始めたのは。





俺がようやく、梨緒に告白しようと、決心したときだった。
『フォーエバーゲーム』が始まりを告げる。

アスカが現れ、俺らの日常を崩していく。

それでも救われた点は、梨緒と同じチームだったこと。
梨緒をこの手で守れるのだから。


護れるから。
巴坂 絢都
約束してほしいことがあるんだ。


そんなことが口から出たのは、自分でも予想していなかった。
時雨 梨緒
約束…?
戸惑う梨緒が目にはいったけど、口を噤んでしまうことがどうしてもできなかった。
巴坂 絢都
うん、ゲームが終わったら、俺と…付き合ってよ。


あの時の梨緒の顔は忘れられない。

忘れそうにないな。



あんな驚いた顔。
一瞬拒まれたのかと思って落ち込んだのだが、梨緒は一瞬だけ嬉しそうな顔をした。

多分、本人は気がついてないんだろうけど。


俺の勘違いかも知れない。
俺の見間違いかも知らない。




けど、俺には喜んでくれたように見えたんだ。

















まあ、そうして今に至るわけだが、もうすぐに俺は死ぬ。
『死にたくない』
梨緒の心からの叫びが、ふと聞こえた。
ちらりと振り返れば、後ろにいた一年生に押されそうになっている梨緒の姿。


そして、もうすぐ振り向く鬼役。




一瞬、全てが止まって気がした。
巴坂 絢都
いいよ、死なせない。

俺の唇が自然と動いていく。

梨緒の驚いたような顔が入れば、俺は梨緒が動いたことをカメラセンサーに認識されないように、俺は激しく動いた。



鬼役が振り向けば、ジャストタイミング。



俺は死ぬ。
もうすぐ死ぬんだ。









最後まで、梨緒を守り抜かないのが無念。
心残り。




だけど、まあいいか。
成瀬に色々と託したし。


まあ、渡したくないけどね。


機械音が頭の中に響く。
さようなら、梨緒。

俺が恋した相手は間違ってなかった。












好きだ好きだ、愛しているよ。















これが…、、、



俺の愛する人の守り方。


自分の命に代えてでも守るのが俺のかたち。

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