光樹の信じられないと言った様子の声が、耳に飛び込んでくる。
信じられないのは私も同じ。
リーダー=王様みたいな感じ…。
どうすればいいのかわからなくて、私は隣にいる成瀬の制服の裾を掴んだ。
そんな当たり前のこと。
なに、言ってんの、こいつ。
成瀬はそっと私の手を取って、
握ってくれた。
首を縦に降る。
アスカは、『あ、あと一つ。』と声を出す。
体育館に突如出現した、拳銃に、ナイフ。
槍とかもあるし…。
アスカは『学校中でね!』といって、ゲームのスタートを告げようとする。
私たち3チームは膠着状態になる。
だって武器を取りに行けば、殺されるかもしれない。
逆に先にとられても殺される。
どうすればいいのか。
光樹が武器に走り出したのを見逃すやつは誰一人いない
光樹は拳銃を二丁とると、両手に握った。
ーーーーバァン!!!
銃声が響く体育館。
ほかの2チームが一目散に、体育館から逃げ出していく。
光樹はにたりと笑うと、私達の方に近づいてくる。
光樹は成瀬の制止も聞かずに走って体育館を出て行った。
…待って、待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って
本気で殺す気?
無理でしょ、なに、急に。
光樹のキャラじゃないよ?
なんで、なんで一人でしようとするの。
めありの冷めた声にゾッとする。
それは成瀬も同じようだった。
さっきから言ってるでしょ。
今は、もう…無理だよ。
めありと楽しくなんか話せないから。
断固拒否する。
いやだ、やだ。
もう、めありと話したくない。
そんな思いが私の心を煽っていく。
ーーパンっ!
私は気がつけば、めありの頬を思いっきりぶっていた。
成瀬は驚いている。
そりゃそうだよね。
私だって自分の行動に驚いてるもん。
…だから、だから。
人殺しだから。
成瀬の声を聞いて私はハッとする。
私が強く握っていたのか、成瀬の手に私の爪の後がくっきり見えている。
めありの方に目をやると、何も言えずに固まってしまったようだった。
成瀬は大丈夫というと、私の肩を引き寄せてくれた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!