前の話
一覧へ
次の話

第21話

フォースゲーム(1)
87
2019/10/05 07:00
アスカ
第四フォースゲームはみんなに殺し合いをしてもらうよ!
度会 光樹
は!?
光樹の信じられないと言った様子の声が、耳に飛び込んでくる。
信じられないのは私も同じ。
アスカ
ルールは簡単!
チームでリーダーを決めてもらうよ!

自分のチームのリーダーが殺されれば、そのチームはゲームオーバー。
最後の一チームになったら終わり。
リーダー=王様みたいな感じ…。



どうすればいいのかわからなくて、私は隣にいる成瀬の制服の裾を掴んだ。
アスカ
ただし、チームメイト殺してはいけないよ。
そんな当たり前のこと。



なに、言ってんの、こいつ。





成瀬はそっと私の手を取って、
握ってくれた。
時雨 梨緒
成瀬。
成瀬 聖
おちつけ
首を縦に降る。

アスカは、『あ、あと一つ。』と声を出す。
アスカ
全てはリーダーの責任となるよ。

ルール違反はリーダーの責任。
アスカ
武器は取り合いだよ。
体育館に突如出現した、拳銃に、ナイフ。
槍とかもあるし…。


アスカは『学校中でね!』といって、ゲームのスタートを告げようとする。
アスカ
じゃ、ゲームスタート!!
私たち3チームは膠着状態になる。

だって武器を取りに行けば、殺されるかもしれない。

逆に先にとられても殺される。





どうすればいいのか。
度会 光樹
俺、行くわ。
時雨 梨緒
え、ちょ、どう言うこと?
光樹が武器に走り出したのを見逃すやつは誰一人いない





光樹は拳銃を二丁とると、両手に握った。



ーーーーバァン!!!
銃声が響く体育館。

ほかの2チームが一目散に、体育館から逃げ出していく。
男子生徒
とりあえず逃げるしかねぇよ!
女子生徒
ちょ、え!!
光樹はにたりと笑うと、私達の方に近づいてくる。

度会 光樹
俺、行ってくるから待っておいて。
成瀬 聖
おい、度会!!
光樹は成瀬の制止も聞かずに走って体育館を出て行った。





…待って、待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って
時雨 梨緒
成瀬、なんで光樹は、一人で行ってんの!?
成瀬 聖
落ち着けって!
それは俺もわかんねぇよ!
本気で殺す気?

無理でしょ、なに、急に。




光樹のキャラじゃないよ?




なんで、なんで一人でしようとするの。
新戸部 めあり
まあ、いいんじゃない?
光樹が代わりにやってくれるんなら。
時雨 梨緒
え、めあり?
めありの冷めた声にゾッとする。
それは成瀬も同じようだった。



さっきから言ってるでしょ。



今は、もう…無理だよ。
めありと楽しくなんか話せないから。
成瀬 聖
何、言ってんだよ。
新戸部 めあり
いや、だってそうじゃん。
新戸部 めあり
手を汚さずに済むし。
新戸部 めあり
あとさ、梨緒と繋いでるその手。
離してくんない?
時雨 梨緒
やだ。
成瀬 聖
時雨っ!?
断固拒否する。


いやだ、やだ。



もう、めありと話したくない。

そんな思いが私の心を煽っていく。
新戸部 めあり
なんでよ、梨緒!?
騙されてるんじゃないの!?
ーーパンっ!
私は気がつけば、めありの頬を思いっきりぶっていた。
新戸部 めあり
痛っ!梨緒!!
時雨 梨緒
…って!黙ってよ!!
成瀬は驚いている。

そりゃそうだよね。

私だって自分の行動に驚いてるもん。





時雨 梨緒
これ以上、めありのこと嫌いになりたくないの!だから黙って。
新戸部 めあり
そんな…、そんな酷いよ、梨緒!
時雨 梨緒
それに手を汚さずに済むなんて…馬鹿なの?もう、私たちは何人も殺してるのと同然なんだよ。


…だから、だから。


人殺しだから。


成瀬 聖
時雨、言い過ぎだ。
成瀬の声を聞いて私はハッとする。
私が強く握っていたのか、成瀬の手に私の爪の後がくっきり見えている。

めありの方に目をやると、何も言えずに固まってしまったようだった。
時雨 梨緒
ごめん、成瀬。
成瀬 聖
いや、いいよ、うん。

成瀬は大丈夫というと、私の肩を引き寄せてくれた。








アスカ
あ、もうそろそろ終わりそうだねー!

プリ小説オーディオドラマ