アジフライ談義 ~サクサクの向こう側~
放課後の公園のベンチ。地元・長崎産から銚子産まで、アジフライの産地の奥深さについて熱く語り合う朝比奈春菜と青木咲。咲は魚市場をめぐるこだわりを語り、春菜は二度揚げのサクサク食感を実演。おたがいの実家の漁港直送、衣の違い、揚げ油の黄金比…“アジフライ愛”を語る二人の情熱は止まらない。
一方、その会話をただ傍観する小林結衣は、心の中でそっとつぶやく。「また始まったよ…ついていけないな」と。だが、揚げたての香ばしい匂いと、ふたりの幸せそうな笑顔に包まれるうち、結衣の中にも小さな変化が芽生え始める。
やがて話題は、おすすめの定食屋巡りへ。タルタルたっぷりの家庭的な味から、衣の軽さを極めた専門店まで、二軒の食べ比べを経て、揚げた瞬間の「ジュッ」という音こそが幸福の合図だと結論づける。
そしてエピローグ――教室に戻った三人。結衣が静かに口を開く。「ねえ、次は私の好きな話、聞いてくれる?」。春菜と咲は顔を見合わせ、にっこりとうなずく。揚げたてのアジフライが生んだ、ほんのり甘酸っぱい友情の物語。
ー 4,587文字
favorite0
grade0
update 2025/05/16