第11話
何で知ってるの?
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〖あなたの下の名前視点〗
あの日は、眠れなかった。
気づいたら早朝になっていた。
玲瑠は、ママの部屋に行ったのかな…?
大丈夫かな…
この選択は間違えていないだろうか…
ずっと、そんな事を考えていた。
ふと、空を見たくなった。
どうせ、もうすぐ居なくなるのだから。
部屋を出て庭に向かった。
星空も好きだけど、この空も好き。
空を見て、何分がたったのだろうか…
ずっと見ていられるような、そんな気がした。
私は、また、部屋へと歩いていた時だった。
どこからか、怒鳴り声が聞こえた。
ママの部屋の方から。
すごく嫌な予感がした。恐る、恐る、ママの部屋の方へと足を運んだ。
見たくなかった。
だって、
私の大好きな人が、過呼吸になり、ママに叩かれそうになっているのだから。
私は、頭より先に体が動いた。
とっさに走り、気づけば、玲瑠を庇っていた。
頬に熱さと痛みを感じる。
玲瑠は、眠っている。
良かった。玲瑠が無事で。
ホットする気持ちと、怒りが湧いてきた。
ヒョイ(玲瑠を持ち上げる)
玲瑠、軽。ちゃんと食べてるのかな?
寝顔可愛い笑
私は、玲瑠を持ち上げたまま、医療室に行った。
玲瑠をベッドに寝かせて、ずっと玲瑠のそばに居た。
玲瑠、汗かいてる…
うなされてるし…悪い夢見てるのかな…?
私は、玲瑠の汗を拭いて、手を握った。
でも、なんで琥慧くんの事を知ってるの…?
あの日私は、ママの部屋で見た。
私には、双子の兄がいる。
特徴的だった。
赤い髪に紫の瞳。
花の髪飾りを付けている、可愛らしい男の子。
なんで、玲瑠が知ってるの?
琥慧くんの事。いや、
"琥慧兄"の事を何で玲瑠が…?
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。