あなたside
さっきまで聞こえていた3人の声がいつの間にか聞こえなくなった。
これはひとつの"ゲーム"だ。
幼い頃よくやっていた鬼ごっこ。氷鬼とかタッチ鬼とか……。この"鬼ごっこ"もそうなのかな?
鬼はナイフを持っている。さっき見たナイフは鋭く、反射してキラリと輝いていたのが余計不気味に見えた。
そう……この鬼ごっこが他のと違うところは、
鬼に捕まったらゲームだけでなく、"私の人生"も終わりということ。
私は鬼に見つからないようにそっと遠くへ逃げる。
タッタッタッ……
どこからか足音がした。
私はとっさに近くにあったロッカーのかげに隠れた。
タッタッタッ……
足音の正体はころちゃんだった。
目の前をころちゃんが去っていった。
その時、後ろに気配を感じた。
後ろに居たのはるぅとくんだった。
るぅとくんの手に握られていたのはやはりナイフだった。
るぅとくんは莉犬くんところちゃんを呼んだ。
私の心の中は恐怖しかなかった。
ころちゃんは私にニッコリと笑った後、近づいてきた。
ギュッ
突然耳に息を吹きかけられて、背筋がゾクッとした。
まずい……どうしよう……。
はむっ
とっても楽しい"ゲーム"の始まり始まり……。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。