それから何日か経過し、
ヒョンともだいぶ打ち解ける
ようになった。
でも、ヒョンは僕が何か聞いた時に
しか反応がない。
しかも、「あぁ。」とか「いや、」
とか。まるで壊れかけのロボットのよう
だった。でも僕はそんなヒョンが
愛おしくて毎日のように可愛いと
言っている。ヒョンはうんざり
してるのか、最初は反応したものの
無視するようになった。
子犬の時はこんなに
なついてくれるのに…
そう思いながら僕の膝に乗る
ヒョンに顔を埋めて
頭にそっとキスをする。
そしたらまた人間の方の
ヒョンになって冷たい態度を取られる。
まるで猫。犬か猫なのかはっきり
してほしい。
そう膝にのったままのヒョンを
ギュッと抱きしめる。
僕の胸元を強く押し離れようと
するヒョンをしっかりと掴んだ。
何故か分からなかったけど、
離してしまったら何処かへと
行ってしまいそうな気がした。
諦めたのか、大人しく僕の上に座る。
ヒョンが可愛くて可愛くて仕方なくて
僕は1時間くらいヒョンを
抱きしめていた。
するとヒョンは寝てしまっていた。
子犬の時は甘えん坊なのに
人間になると全然構ってくれない。
悲しい、嫌だと思い
不満を漏らしていると
ヒョンは起きてこう言う。
上目遣いで見てくるヒョンは
寝起きの目を擦っているのか、
泣き目になって目を擦っているのか
分からなかった。
小さい声で僕に問いかけてくる
ヒョンがたまらなく愛おしい。
この時、僕のドSの血が
騒いでしまったのかヒョンに
意地悪をしてしまった。
こう答えると、
そういうとヒョンは体を震わせて
頬を赤らめた。
単純すぎて少し心配になったけど
そこも全部引っくるめて可愛い。
状況は僕とヒョンの性格が
逆転したような感覚だった。
流石にやめようと思い、
頭を撫でた。
僕はヒョンの顔を手に乗せる。
そしたらヒョンは僕の小指を
甘噛みして柔らかく笑った。
何気に僕に向けての笑いは
初めてかもしれない。
嬉しくて僕も笑ってしまった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。