紫耀「先輩先輩先輩 !!!」
『あーうるさいうるさい』
まったく 。
朝からなんなのよ 。
紫耀「一緒にお弁当食べましょ !」
『いや』
彼の言葉を無視して 、席につく 。
紫耀「え 、なんでですか !?」
『話したこともない君と一緒に食べる気はないから』
紫耀「昨日話したじゃないですか !」
『昨日だけでしょ』
紫耀「 ……… やっぱり覚えてないか」
『え ?』
紫耀「じゃあ 、また来ます !!」
『はぁ』
「いい後輩じゃん 笑」
『全然よくないんだけど』
話しかけてきたのは隣の席で幼馴染の優太 。
優太「そう ?」
『告白されてから 、ずっと付きまとわれてる』
優太「一途だなぁ 笑」
『何回も振ってるんだけど』
優太「まあ 、頑張れ !」
優太は私の頭をポンッとたたいて 、前に向き直った 。
『 ……… もう』
そんなことされたら 、恥ずかしくなるじゃん 。
優太「(トントンッ」
『ん ?』
優太は声に出さず 、自分のノートの端を指さした 。
"あなたは好きな人いる?"
優太らしい 、しっかりした字 。
この文字の中になにか奥深いものがある気がした 。
"いるよ"
私も自分のノートの端っこに書いた 。
"だれ?"
好きなのは 、優太だよ 。
そんなこと書けるわけない 。
"秘密"
"教えろよw"
"やだ"
"え〜"
積み上がっていく言葉 。
その中に 、私はそっと書いた 。
"優太は好きな人いないの?"
帰ってきた返事は 。
"いるよ"
片想いは 、もう届かない 。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!