あなたside_
それから恭平くんが先生を呼んできてくれて
担任の先生と大吾くんが教室に来た
担任「、なんや、これ」
西畑「、!谷口足どうした、」
谷口「…ちょっとガラスで切っちゃって、」
西畑「すぐ保健室行った方がいい。誰か連れてってくれるか、?」
高橋「、俺連れていきますよ。…広菜足痛いやんな、俺の背中乗って。保健室行こ」
谷口「、いや、歩けるし大丈夫だよ、!」
高橋「ええから。…お願い。ほんまに心配やから」
そう恭平くんに言われて、広菜は恭平くんと保健室に向かった
そんな会話をしている中でも、私はどうしても信じられなくて
これからこんなことが続くのかという恐怖と、私のせいで広菜に怪我をおわせてしまった罪悪感で立ち尽くしてしまっていた
それから色々な先生たちが教室に来て
また窓ガラスが割られる危険性もあることから、今日はもう家に帰ることになった
だけどその中で、犯人らしき人を見たことから私と駿くんは先生に呼び出されていた
担任「どんな特徴やったとか分かるか?背丈とか年齢とか」
『、……』
西畑「…ごめんな、怖い思いしたのにあんま思い出したくないよな。、でも出来れば教えて欲しい。被害を少なくするためにも」
道枝「、…女の人でした。髪は少し長めで、そんな身長は高くなかったです、」
先生にそこまで言われても、私は何故か答えられなかった
大吾くんの前で、
犯人が優さんの可能性があるなんて、
そんなこと言えなかった
犯人の特徴を言ってしまえば、大吾くんにバレてしまう可能性だってある
まだその犯人らしき女の人が優さんだという確信もないけれど
優さん以外であの髪飾りをつけて私を恨んでいる可能性がある人なんてそうそう見つからない
だから、可能性が高いことも事実だった
なんで大吾くんに犯人が優さんかもしれないとバレたくなかったか正直自分でも分からない
もし優さんが犯人だと分かったら先生が優さんに会いに行ってしまうかもしれないから?
もしかしたら犯人が優さんだと知ったとき先生が悲しそうな顔をするかもしれないから?
…そんな顔を見るのが嫌だから?
きっと全部だと思う
こんな私のわがまま許されるわけが無い
広菜が怪我をしてるぐらいなのに
早く犯人を見つけてもうこれ以上被害が出ないようにするべきなのに
勝手な私のわがままがその気持ちを上回ってしまった
……、こんな自分のことが、心底憎くて仕方なかった
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西畑side_
上坂たちと別れて、屋上から音楽室へ戻って仕事をしているとき
高橋が血相を変えて職員室に来たと先生から連絡があり急いで教室に向かった
教室のドアを開けると、
そこら中にちらばったガラスの破片と投げられたであろう石、そして足から血を流している谷口と酷く怯えたような上坂の姿があった
上坂の姿も気になったが、怪我をしている谷口の方に目がいき声をかけた
高橋が谷口を保健室まで連れて行ってくれて、この後もまだ被害が出る危険性があることから生徒たちを先に帰した
でも、犯人らしき人を見たと教えてくれた上坂と道枝には少し残ってもらって話を聞かせてもらった
上坂に関しては一言も話せていなくて
よほど怖かったのかと思うと俺はその犯人が許せなかった
2人との話が終わったあと、上坂と2人で話をしたかったけどそれも叶わず何も聞けずに帰ってしまった
それでも俺は教室での上坂の様子が気がかりで、夜に俺から電話をかけた
上坂「、もしもし」
『あ、もしもし?ごめんな急に』
上坂「いえ、、どうしたんですか?」
『、上坂大丈夫かなって思って』
上坂「、え?」
電話をかけそう言うと上坂は何故か少し動揺していた
上坂「…なにが、ですか、?」
『え、いやその、、教室でめっちゃ顔強ばらせてたし残ってもらった時も喋れん感じやったから、……怖かったよな、』
上坂「、大丈夫ですよ、?笑」
『…強がらんでええよ。怖いこととか心配なこととか。できればちゃんと口に出して教えて欲しい、1人で抱え込まんといて?』
俺が言えることじゃないかもしれんけど
隠し事せずに全部教えて欲しかった
些細なことでいいから
上坂が感じとること全部、ちゃんと知りたい_
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。