菜乃花ちゃん!
おはよう!
え?
あっ!
春斗くん!おはよう!
き、昨日は、ありがとう!
う、ううん!
こちらこそありがとう!
またどこか一緒にいこうね!
そうだね!
おはよう、菜乃花!
あっおっおはよう!
何でそんな噛んでるの
そう言うと、澄人は笑った。
あ、じゃあまたね!
菜乃花ちゃん。
うん、また!
…菜乃花って、西崎のこと、春斗くん呼びだったっけ?
あ…仲良くなったから
かな?
…。
澄人?
またって…
また?
また、どこか一緒にいこうって、日曜日、あいつと出掛けたの?
…うん。
(どうしてだろう。
春斗くんとはお礼だから出掛けただけなのに。
なんだか後ろめたい気持ち。)
…二人で?
…うん。
…そっか。
…うん。
あの、澄人?
ごめん、もう行くわ。
待って!
あの、怒ってる?
澄人は、立ち止まった。
ごめん、じゃあ。
しかし、すぐに行ってしまった。
(あぁ。
私は、なにをやっているんだろう。
澄人のとなりにいるって、決めたのに。
…それなのに。)
菜乃花は、あのとき、澄人に再開したばかりの時と同じ、虚しさに襲われていた。
しかし、すぐに澄人からラインがとどいた。
〈今日、一緒に帰れる?〉
〈うん!もちろん!!〉
澄人のラインを見た菜乃花は、安堵した。
―放課後―
澄人!
菜乃花。
じゃあ、行こうか。
う、うん。
(なんだろう。
やっぱり怒ってるのかな?
表情が暗い。
それに、口数も少ない。)
しばらく歩くと、澄人は口を開いた。
あのさ
う、うん?
西崎のこと、どう思う?
え、優しくて、ヒーローみたいな人…かな?
…ヒーロー、ね。
昨日もね!
私がヤンキーに絡まれてたら、助けてくれたの!
そう。
確かにヒーローだね。
ごめん、俺が助けにいけなくて。
ううん!
昨日は春斗くんと出掛けてたから!
……。
(あっ…。)
ねえ、菜乃花はさ俺と西崎だったら、どっちの方が好きなの?
え……澄人、だよ?
あっあ当たり前じゃん~。
菜乃花はわざとらしく笑った。
(…。
即答しなかった。
もしかしたら、もう、気持ちは向こうにあるのかもしれないな。)
(どうして?
即答できなかった。
私が好きなのは、澄人だけなのに!
なのに…。)
しばらく無言で歩くと、お互いの家への分かれ道が来た。
…じゃあね。
うん。
また。
そう言うと、二人はそれぞれに帰っていった。
家につくと、澄人は考えていた。
(恐らく、菜乃花の気持ちはもう、春斗にある。
悔しい。悲しい。辛い。
けど、よく考えてみると、この方が、菜乃花にとっては幸せなのかもしれない。)
(俺はもうすぐこの世からいなくなる。
だけど、あいつは、西崎は、まだまだこっちにいるはずだ。
だったら、あいつの方が、菜乃花を幸せに出来るんじゃないだろうか。)
うっ…
ううぅぅ~
ああぁ~
(やばい。
苦しい。
誰か、助けて。)
澄人?!
大丈夫!?
澄人っ!
澄人は、首を横にふった。
澄人!
数分後、その苦しさは収まった。
しかし、澄人の中には、恐怖と悔しさと、
色々な感情が渦巻いていた。
(俺は、どうしたらいいんだろう。
どうするべきなんだろう。)
そう、自分に問い続けた。
そして、何かを決意したような顔に変化した。
一方の菜乃花もまた、家で一人で自問自答を繰り返していた。
(私は、澄人のことが好き。
私は、澄人のことが好き。
そうだよね?
じゃあどうして、即答できなかったんだろう。
もしかして、春斗くんのことを…?
いやまさか!
でも、確かに春斗くんのことが気になるのも事実。)
(じゃあやっぱり、私は、澄人じゃなく、春斗くんのことが…。)
(ううん。まだ、分からない。
明日、学校にいったら、自分の気持ちを確かめてみよう。)
そして、二人は、眠りについた。
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編集部コメント
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