第33話

桜の雨【鬼軍曹視点】
91
2024/04/15 05:10
ゆっくりと時間が過ぎてゆく感覚

まるで海の上をたゆたう様なそんな感覚だ


そっと目を開けると




驚いた




見つめた視界のそこには………
















殉国禁獄鬼軍曹
さ……くら………


辺り一面が桜の花びらで埋め尽くされていた


空からは止めどう事なく降り続いている



そっと、そのひとひらを手に乗せてみた
殉国禁獄鬼軍曹
……綺麗だな


自然と微笑んでいるのがわかる

“暖かい“


と感じたのはこれのお陰か…
ゆっくりと身体を起こし辺りを見渡すが

桜の花で埋め尽くされている

足元を見ると…
殉国禁獄鬼軍曹
右足が…!
吹き飛ばされたはずの足が戻っている


その場で座りこの状況が何なのかを考えていると

空から桜の花びらと共に一筋の光が差し込んだ


その光は真っ直ぐと俺に伸び


そして……













殉国禁獄鬼軍曹
ははっ…
自然と瞳から涙が溢れた

それは止まる事を知らずにぽたりぽたりと落ちてゆく


俺に伸びた一筋の光から…



あなた
『負けないで!』
殉国禁獄鬼軍曹
ああ
あなた
『絶対戻って来て!』
殉国禁獄鬼軍曹
っ!…ああ
あなた
『ずっと一緒に居て!』
殉国禁獄鬼軍曹
……分かった!






空からは愛するあなたの声が桜と共に降ってくる






あなた
『あなたの呼びたい“彼“の名前…愛してる』
その言葉を聞いて更に涙が溢れた


ゆっくりと起き上がり光へと手を伸ばす
殉国禁獄鬼軍曹
ああ……ああ!!
……俺も……愛している!!!


それと同時に光に包まれた


何が起こったのかも分からず

俺はそっと目を閉じた



いつかまた巡り会えたのなら

今度こそ共に歩みたい


殉国禁獄鬼軍曹
あなた……愛している…永遠とわに……




ぽとりと一筋の涙が頬を伝った………

プリ小説オーディオドラマ