ゆっくりと時間が過ぎてゆく感覚
まるで海の上をたゆたう様なそんな感覚だ
そっと目を開けると
驚いた
見つめた視界のそこには………
辺り一面が桜の花びらで埋め尽くされていた
空からは止めどう事なく降り続いている
そっと、そのひとひらを手に乗せてみた
自然と微笑んでいるのがわかる
“暖かい“
と感じたのはこれのお陰か…
ゆっくりと身体を起こし辺りを見渡すが
桜の花で埋め尽くされている
足元を見ると…
吹き飛ばされたはずの足が戻っている
その場で座りこの状況が何なのかを考えていると
空から桜の花びらと共に一筋の光が差し込んだ
その光は真っ直ぐと俺に伸び
そして……
自然と瞳から涙が溢れた
それは止まる事を知らずにぽたりぽたりと落ちてゆく
俺に伸びた一筋の光から…
空からは愛するあなたの声が桜と共に降ってくる
その言葉を聞いて更に涙が溢れた
ゆっくりと起き上がり光へと手を伸ばす
それと同時に光に包まれた
何が起こったのかも分からず
俺はそっと目を閉じた
いつかまた巡り会えたのなら
今度こそ共に歩みたい
ぽとりと一筋の涙が頬を伝った………
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。