気分転換にならなかった週末を過ごし、月曜日がやってきた。…会社行きたくないな。そうは言っても行かなきゃいけないし、実際今、会社の前にいるのだけれど。入るのに少し迷っていると、
『おはよう。突っ立ってどしたの?』
スーツ姿のスニョンさんが肩を叩く。この間のラフな私服とは違う、かっちりした服装だ。そりゃそうだよね、仕事場なんだし。
「いえ、少し立ちくらみがして。もう平気なので」
『…そう?あんまり無理しないでね。辛かったら休むんだよ?』
はい、と返事をしてデスクに着く。私が見た事、ホントだったのかな。聞いてみる?いや、出来ないな。後でマリさんに相談してみよう。
頭の中から消して仕事するけど、突然あの時のことが浮かぶ。…かわいかったな、あの女の人。スニョンさんを少し意識してしまった手前、私の中でこれは簡単に見過ごせない問題になっていた。私を好きだと言ってくれてたのに。からかってただけだったんだ。でも、そう割り切っても、割り切れないほど彼の存在は私の中で大きくなっていたみたいだ。近くをマリさんが通った。…今だ!!
「マリさん!少しいいですか?ちょっと相談があって」
「お?いいよ、どうしたの?」
かくかくしかじかマリさんに話す。スニョンさんが私を気に入ってくれてること、しかし見知らぬ女の人と休日を過ごしていたこと。グチャグチャだった心を整理するように、全て打ち明けた。少し考えてからマリさんが、
「あたし、その人知ってるかも。前にスニョン先輩の近しい人です、みたいな感じでここに来たことあったんだよ。そのときは詳しく聞かなかったけど、噂だと…」
『あっ!そこの2人ちょっと来てー!』
遠くから私達を呼ぶ声がした。目を凝らすと、声を張り上げるスニョンさんがいた。1番聞きたい所を逃した私は、モヤモヤしたまま走りだした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。