「お父さんはお母さんのどこを好きになったの?」
5歳の娘がませたことを聞いてきた。その質問は私を過去へタイムスリップさせる。
『んー、鈍感なところ?』
「たとえばー?」
『毎日、好きって言っても相手にしてくれなかったんだよ。からかってると思ったんだってー』
首を伸ばしてキッチンに声を届ける。そんな事しなくても聞こえてるってば。
「お父さん、ほんとにしつこかったんだから。嘘だと思うじゃない。」
「それは[うざい]だよ。お父さん。」
2人から攻撃されて、彼はムキになった。
『なんだよー2人してー。そーでもしないと気づかなかったじゃーん。』
ニタニタ笑って、私を小馬鹿にしてる。全部わかってるみたいな顔して。もう…
「さっ、ご飯できたよー!暖かいうちに食べよー」
『あっ!!逃げたなー○○!!』
賑やかな夕食を終えて、皿を洗っていると、後ろに懐かしい気配がした。
『今日も美味しかったよ。ごちそうさま』
「ん。ありがとう…でもあの子に変なこと吹き込まないでよ?」
『んー善処します。…懐かしいな、もう6年も前なんだ』
「そうだね。あの時はほんとに、あなたに振り回された」
『ははっ!我ながらしつこかったな、あれは。でも、あのくらいが丁度よかったでしょ?』
「…ばか」
この人には敵わない。なんでもお見通しだな。そう、私にはスニョンさんくらい、
しつこい方が丁度いい
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。