第3話

episode2
498
2024/05/05 22:52
side.田中樹
おかしいとは思ってた。
SixTONESのときも、裏のときも…
眠りについたあと、必ずと言っていいほど魘されるから。
でも、本人も何も言わなかったし仕事とかに支障はないみたいだから放置してた。
でも……もしかしたら、しっかりと気にかけた方がいいのかもしれない。
だって今日の彼奴、起きた後怯えてたから。
いつもの夢なんだろうけど……

でも、あんなに怯えを含んだ表情を見るのは初めてだった。
田中樹
田中樹
くっそ、何でだよ……
俺がどう頑張ろうとも北斗のことを助けることは出来ない。
彼奴は自分を犠牲にする奴だから。
だから、仲間の俺たちにも弱い面は見せない。
それが悔しくて、苦しくて堪らない。
別に北斗が悪いわけではないし、他のメンバーたちが悪いわけでもない。
だって自分の弱い面を周りに見せたくないのなんて普通だと思うから。
そんなの俺もだし。
でもやっぱり、自分は北斗に信用されてないから相談されないんじゃないか…
そう思ってしまう。
田中樹
田中樹
はぁ……
こんな自分が、俺は嫌いだ。
北斗のことが大好きで守りたいから、どうしても他の誰よりも早く助けたくなる。
小さい頃から女の子たちにモテてきたけど…

でも、北斗へのこの想いはやっぱり特別だった。
甘やかしたいって、守り抜きたいって思った。
そう思ったのは、本気で恋をしたのは…

北斗が初めてだったんだ。
田中樹
田中樹
俺にも、頼ってくれればいいのに……
北斗は高地に頼ることが多い。
理由は聞いたことないけど……

まぁ、2人の間には目に見えなくて切れない絆みたいなのがあるんだと思う。
俺と北斗には……それがないだけ。
ただ、それだけなのに……
それなのに、勝手に自分で高地に負けたような気分になってしまう。
俺、こんなにダサかったっけなぁ…
松村北斗
松村北斗
…り、樹!!
田中樹
田中樹
っ、うぉっ…
田中樹
田中樹
北斗?どうした?
松村北斗
松村北斗
もー!何回も声かけたのに反応してくれないんだもん!!
「もん」って……

この言葉が似合うの此奴ぐらいじゃね?
田中樹
田中樹
ごめんごめん…
田中樹
田中樹
んで、何かあったのか?
北斗が俺に声かけるなんて珍しすぎる……
しかも…
ミラ
ミラ
疲れてんの?アルタイル
レグルス
レグルス
無理しないでよ~
“裏”の話し合い中に。
松村北斗
松村北斗
だーかーらー
ベガ
ベガ
今日の任務、俺の補助に入ってくんない?
…ん?「俺の補助」?
まさか………
アルタイル
アルタイル
ハッキング?
ベガ
ベガ
んー、それもそうだけど……
リゲル
リゲル
敵の情報操作をしてほしくてさ
“情報操作”?

まぁそれなら俺が適任か……?


でも……
アルタイル
アルタイル
…何のために?
アルタイル
アルタイル
もし情報操作をするとしたらリスクが高すぎる
アルタイル
アルタイル
もしかしたらこっちの情報が向こうに筒抜けになるかもしんねぇしな
アルタイル
アルタイル
それでもやるか?
俺らはいつも“最悪”を考えて行動する。
“もし”こうなったら?

“もし”失敗してしまったら?
そういうリスクを考え、それでもやるってなったら全力で取り組む。
そんな組織。
スピカ
スピカ
そっか……
リゲル
リゲル
…ミラさ、その時にこっちに入り込んでくるウイルスって処理出来る?
ミラ
ミラ
んー…まぁ、出来なくはないかなって感じ
なるほどなー。

ベガと俺が情報操作で向こうに行った動作によってうちに入り込んできたウイルスをミラに処理してもらうってことね
流石リゲル。

こういうときは凄い頭の回転が速い。
リゲル
リゲル
じゃあ今日の夜、ベガとアルタイルが情報操作を行う
リゲル
リゲル
その時に入り込んできたウイルスはミラに処理してもらうからこっちの情報が筒抜けになることはほぼないと思う
リゲル
リゲル
これでどう?アルタイル
いつも計画の最終決定は俺がする。
俺が1番“最悪”を考える人だからな。
アルタイル
アルタイル
…リゲルはスピカのところにいてくんね?
リゲル
リゲル
へ?なんで?
スピカ
スピカ
???
今さっき、パパッと人脈を使って相手の情報を集めた。
そしたら、ボスの側近…戦闘向きのね。

…まぁ、その側近に女性がいた。
女性が恐怖の対象である高地は攻め込まれたら一発でアウト。
しかも高地がいるのは医務室。

医務室は狙われる可能性も結構高いしな。
アルタイル
アルタイル
あっちのボスの側近に女性がいた
アルタイル
アルタイル
しかも戦闘向きの
レグルス
レグルス
なるほどね…だからか
アルタイル
アルタイル
其奴らがスピカしかいない医務室に攻め込んできたら一発でアウト
アルタイル
アルタイル
それを防ぐためにもリゲルにはスピカのボディーガードになってもらいたい
リゲルはスピカのこと大好きだしね。

こっちの方がやる気出るでしょ。
リゲル
リゲル
うん、分かった
スピカ
スピカ
…ありがと、みんな…
少し申し訳なさそうな高地。

別に女性が恐怖の対象っていうのは悪いことじゃねーのにな。
松村北斗
松村北斗
…こーち!
高地優吾
高地優吾
ん?
松村北斗
松村北斗
リゲルに守ってもらいなね
高地優吾
高地優吾
…!!おう!
やっぱ、この2人って何かしらの関係があると思うんだよな…
こんな一瞬で高地を笑顔に出来る人なんていないって。
……さぁ、計画の決行は今日の夜。
アルタイル
アルタイル
なんか、嫌な予感がする……
俺らが出来る全力をしなきゃな。

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