第75話

アルハイゼン
165
2023/08/13 15:58
自分はスメーラルト領主第1夫人の子供で、スメーラルトの第2王子
第2王子でも、第1夫人の子供ならば第1の領主候補として育てられるのは至極当然のこと
ずっと、ずっと、自分が第1王子で、第1夫人の子供だと思っていた
…彼の洗礼式までは
教師
アルハイゼン様、今日の授業は…
幼い頃のアルハイゼン
幼い頃のアルハイゼン
(今日は洗礼式。この季節ではないけど父上と母上は来てくれるだろうか)
コンコンと短いノックがなる
幼い頃のアルハイゼン
(父上と母上かも…!)
幼い頃のカーヴェ
おはようございます
幼い頃のアルハイゼン
…!
教師
おや、カーヴェ様でしたか
教師
何用で?
幼い頃のカーヴェ
洗礼式までまだ時間があるからまだ見ぬ弟と会話したいと思ってな
幼い頃のアルハイゼン
(なんなんだ…貴族らしい言葉遣いなんてひとつもできていないし…)
幼い頃のアルハイゼン
弟って…一体…
教師
あの時の教師の目は今でも覚えている
…あの後は酷く叱られた。
あの時、カーヴェの育ち方を聞いた
「羨ましい」
湧いた感情はそれだけだった
自分は娯楽に触れたことなんて1度もなかったのにカーヴェは好きな分野の本を読めて、触れて、見ることが出来た
幼い頃のアルハイゼン
…私も
教師
幼い頃のアルハイゼン
私も、カーヴェ兄様みたいに、好きな本を、読んだりしたい、です
教師
そんなことが許されるわけないでしょう
幼い頃のアルハイゼン
…!
教師
貴方様は領主の器なのです。貴方様は領主になるために様々なことを覚えなければいけないのです。遊んでる暇なんてないんです。
幼い頃のアルハイゼン
この言葉で何かが壊れた。今思い返すとそう思う
それからはなんだかぼんやりとした記憶だった
利益を求め、利益のためなら何でもする。欲した利益でなくとも
覚えていることはそれぐらいだった
記憶がはっきりとし始めたのは、あの日からだった
幼い頃のアルハイゼン
(モーダンドで保護されている子供を連れ帰る…か)
幼少期の私
それでは着いてきてください
幼い頃のアルハイゼン
…!
幼い頃のアルハイゼン
君は無理をしているな
何となくで発した言葉だった
彼女が取り繕う姿を見て、「あぁ、同類だな」と思った
だけど、彼女は少し違った
自分のようにひたむきに感情を伏せ人形になっているんじゃなく自分の意思で、自分で…
彼女と再開して、不安の声を聞いた
思ったのは、嫉妬だった
何故彼女は隙を見せても誰も怒らない?自分は怒られるのに。何故隙を見せられる環境にいるのに不安を覚える?
駄目だ、考えては
???
…ン様!
???
アルハイゼン様!
あなた
…アルハイゼン!
アルハイゼン
…!

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