第42話

報告と作戦
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2024/04/14 22:25
翌日、

一時静まった遊郭が再び賑わい出す、夜。







ときと屋の中では、遊女たちが忙しく動き回っている。













その中に、炭子はいた。


炭子
(ふう…忙しいなぁ。)


遊女「炭子ちゃん!よく働いてくれたねぇ。もう休んでいいよ〜。」
炭子
ありがとうございます!










炭子
(気がついたら、もう日が変わっていた…。ここは本当に忙しない場所だな。)
炭子
(一見鬼が潜みにくく思えるが…)
炭治郎が一人考え事をしながら部屋に戻ると。





ムキムキねずみ「ムキッ!」
炭子
うわっ?!…って、宇髄さんのねずみ?
「ムキムキッ、ムキィッ!」




ねずみは、何やら手紙を差し出す。
炭子
なになに…



─今夜丑三つ時、店の上にて報告を致します
多忙なのは承知していますが、重要なこと故どうか頼みます  紫苑​──







































_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
こんばんは。
竈門炭治郎
竈門炭治郎


炭治郎が屋根の上で待機していると、音もなく紫苑が現れた。

_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
時間通りですね。むしろこちらが遅れてしまいました、すみません。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
いや、俺が早く上がってきすぎただけなんだ。気にしないでくれ。



竈門炭治郎
竈門炭治郎
それで、報告というのは?
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
ええ。明後日の昼時に、あそこの店の上で集まって調査の報告を皆さんにしてもらうことになりました。
紫苑は二、三本向こうの通りの大きな店を指さして言う。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
その日までにできるだけ多く鬼の情報を集めて欲しい、と宇髄様から伝言です。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
わかった。わざわざ伝えに来てくれてありがとう。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
いえ。…ところで、今の時点で何か情報はありますか?
竈門炭治郎
竈門炭治郎
それが、ついさっき花魁から話を聞けたんだけど…



炭治郎は鯉夏花魁から聞いた話を伝える。






















_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
須磨花魁の足抜け…?!
竈門炭治郎
竈門炭治郎
そうなんだ。日記があったそうだけどなんだか、

_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
こんな短期間で花魁になってたなんて…
 
竈門炭治郎
竈門炭治郎
怪し…、えっ?!い、いや、大事なのはそこじゃなくて、

伝えたかったこととちょっとズレたところに食いついて、それでいて真面目に驚く紫苑に、炭治郎は面食らってしまう。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
あっ、そうですね。足抜け…遊女がこっそりと逃げ出すことですよね。

_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
…日記なんていくらでも偽装できますし、須磨さんは店に潜入して鬼を探っていたわけですから、足抜けして店を出る理由がありません。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
十中八九、鬼の仕業とみていいでしょう。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
やっぱりそうだよな…。
 
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
ときと屋に潜んでいるとはまだ断言できませんけど、くれぐれも油断しないようにしてください。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
わかった。紫苑もありがとう、わざわざ伝えに来てくれて。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
いえいえ。見ての通り結局どこにも潜り込めず、宇髄様を手伝っているだけですから。
竈門炭治郎
竈門炭治郎
それでも…


_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
ありがとうございます、炭治郎さん。ニコッ
 
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
竈門炭治郎
…紫苑も、頑張って。ニコッ


























ベンベンベン べべべン ベベベベンッ!!!







京極屋…激しい琵琶の音が屋根上まで聞こえてくる。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
善逸さん、まだ来てないかしら。


紫苑がそっと窓から中を覗くと。






善子
〜~~~!!!(💢💢ಠ益ಠ)



…怒りのあまり、なのか、凄まじい表情の善子。

_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(演者は善逸さんだったのね…手紙、まだ見てないのかな、困ったわ…)






_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(そういえば、善逸さんってすごく耳が良かったはず。なら…)



_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
コソッ…善逸さん、聞こえますか。

紫苑は窓に口を近づけて、小声でつぶやく。




善子
ピクッ
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(ほんとに聞こえてる…!)
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
今すぐ屋根上へ来てください。
善子
スクッ(演奏をやめて立ち上がる)
遊女「あら?どうしたの善子ちゃん?」
善子
…少し休憩を貰ってもいいかしら?
遊女「疲れちゃったのね。今日はもう大丈夫よ。ゆっくり休んでね。」
善子
はい。

















_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
お忙しいところ呼んでしまってすみません善逸さん。
我妻善逸
我妻善逸
いや、それは別にいいんだけど…どしたの急に?
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
かくかくしかじかで…


紫苑は炭治郎に伝えたことと同じことを善逸にも話す。







我妻善逸
我妻善逸
明後日の昼に報告かあ。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
はい。よろしくお願いしますね。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
ところで今なにか有益な情報を持っていたりします?
我妻善逸
我妻善逸
んっと……特にないかなあ…(やっべえ、、我を忘れて任務放棄してた…)
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
そうですか。わかりました。では私はもう行きますから、引き続き調査を頼みます。
我妻善逸
我妻善逸
はーい…



































タンッと音をたてて荻本屋の屋根に飛び移り、紫苑は伊之助の姿を探す。


_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
ずいぶん遅くなってしまいました…伊之助さんもういるかしら。






きょろきょろしていると、視界の端に水色の着物が映る。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
あっ、見つけ…た……って、、、










嘴平伊之助
嘴平伊之助
ごぉーーーっ…ぐおーーーっ…Zzz



鼻ちょうちんをつくって寝ていた。




















_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
遅れてしまって申し訳ありません💦
嘴平伊之助
嘴平伊之助
その通りだ!おっせーから寝ちまったぜ!


嘴平伊之助
嘴平伊之助
そんでだ、ねずみ共が持ってきた手紙に書いてあった報告ってなんだ?
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
ええ、それが……
















嘴平伊之助
嘴平伊之助
ほーん?あの店の上に行きゃあいいのか。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
はい。それまでに何かしらの情報を得ていただけると助かります。
嘴平伊之助
嘴平伊之助
おうよ!任せとけ!
嘴平伊之助
嘴平伊之助
じょーほー探すから服脱いでもいいか?!
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
ダメですよ。女装だとバレて追い出されます。
嘴平伊之助
嘴平伊之助
くそー!邪魔くせえんだよこいつがっ!!脱ぎてえ脱ぎてえ脱ぎてえー!



服をぎゅうぎゅうと引っ張って駄々をこねる伊之助。









それを見ていた紫苑は、思わず笑いがこみ上げる。

_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
…ふふっ、何とか脱がずに頑張ってくれませんか?伊之助さん。





嘴平伊之助
嘴平伊之助
…ポカン





嘴平伊之助
嘴平伊之助
なんかお前…変わったな。

_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
え?

嘴平伊之助
嘴平伊之助
初めてあった時は死んだ動物みてえな顔してたのに、今は元気じゃねえか。



_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
………。










_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
…いいこと、なんでしょうか。
 
嘴平伊之助
嘴平伊之助
は?知らんわ。俺様に聞くんじゃねえ。
間髪入れずに伊之助が言う。
嘴平伊之助
嘴平伊之助
塩がいいならいいんだろ。



























_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(………塩?)












_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(…あ、紫苑か。)










_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
フッ 紫苑ですよ、伊之助さん。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
…ありがとうございます。
嘴平伊之助
嘴平伊之助
…俺なんかしたか?
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
まあ、いいじゃないですか。…それじゃあまた明後日に。
嘴平伊之助
嘴平伊之助
おー…



































宇髄天元
宇髄天元
(ぬっと背後に現れる)おつかれさん。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
いえ、それほどでも。



紫苑と宇髄は、煌びやかに光り賑わう大通り沿いの屋根上で合流した。


宇髄天元
宇髄天元
…お前、俺が急に背後に来ても驚かねえのな。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
そりゃあ気配で分かりますし。
宇髄天元
宇髄天元
限界まで消してんのにこれでも気づくのか。大したもんだな。



宇髄天元
宇髄天元
…収穫は?
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
ときと屋で炭治郎さんが、須磨さんが足抜けしたという話を聞いたそうです。
宇髄天元
宇髄天元
……そうか。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
鬼の仕業…でしょうね。
宇髄天元
宇髄天元
間違いないな。

宇髄天元
宇髄天元
…チッ



宇髄は一瞬悔しさに顔を歪めるものの、すぐに真顔になる。
宇髄天元
宇髄天元
こっちは収穫なしだ。
宇髄天元
宇髄天元
怪しい点どころか、なんの情報もない。




宇髄天元
宇髄天元
…気配の隠し方の上手さ、地味さ。ここに巣食っている鬼、もしや……上げ、


_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
上弦の鬼。

宇髄天元
宇髄天元



_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
うすうす感じていました…炭治郎さんから話を聞いてから。

_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
鬼が足抜けに見せかけて須磨さんをさらったと考えると、偽装の仕方が妙に人間くさいといいますか…一見鬼が絡んでいないように見える。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
鬼の気配を感じさせないが、いるのは確か。つまり限りなく人間の中に溶け込んでいるということでしょう?


宇髄天元
宇髄天元
…そこまでできるのは十二鬼月、中でも上弦にしかできないことだ、と…そう言いたいんだな?
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
はい。








宇髄に話しながらも、紫苑は頭の中では別のことを考えていた。







_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(遊郭に潜む上弦の鬼…)
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(…もし、参…猗窩座だったら…?!)


_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
(…っ、落ち着いて。あいつは女を食べない…いなくなっているのは遊女だからあいつではありえないわ。)




_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
…ブルッ




嫌な想像をしてしまい体を震わせる紫苑。






宇髄天元
宇髄天元
…?(震えている…?)



宇髄天元
宇髄天元
(…当たり前だろうな…。まだ十四のガキだ、上弦と戦うなんてのはまさに死の淵に立ちに行くようなもの。それに加えこいつは前に大怪我を経験してる。)






宇髄天元
宇髄天元
ポンッ(紫苑の背中を軽く叩く)
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん



宇髄天元
宇髄天元
いいか。生きてるやつが勝ちだ。
宇髄天元
宇髄天元
紫苑。お前は強い。俺も信頼してる。だが一人で抱え込むな。
宇髄天元
宇髄天元
どんな手を使ってでも生きろ。
 
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
………わかりました。








宇髄天元
宇髄天元
それとひとつ、お前に伝えておきたいことがある。耳貸せ。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
?はい。


宇髄天元
宇髄天元
いいか?もし上弦と接触したら………


























_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
…なっ?!そんなこと…!
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
本気でそうしろと仰っているのですか?!
宇髄天元
宇髄天元
ああ。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
そんなことしたら宇髄様が…っ
宇髄天元
宇髄天元
こうするのが一番可能性があるんだよ。だから…
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
嫌です…そんな作戦受け入れられません!
宇髄天元
宇髄天元
……
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
宇髄様!!


















宇髄天元
宇髄天元
…俺の掌からは、今までいくつもの命がこぼれていった。…俺は煉獄のようにはできねえんだよ。
_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
っ!



宇髄天元
宇髄天元
……酷なことを言っているのはわかってる。もちろん最悪の事態は避けるつもりだ。
宇髄天元
宇髄天元
ただ、紫苑…わかってくれ。お前にしかこんなことは頼めない。地味な作戦だが、、お前にかかってるんだ。















_御霊 紫苑@みたましおん_
御霊 紫苑みたましおん
……承知いたしました、、、







宇髄天元
宇髄天元
…ああ。





宇髄天元
宇髄天元
(すまない…紫苑…。)

































前回から4ヶ月空いたってマジですか…?(マジ)

現実で忙しくて忘れてて(←言い訳)

これからは定期的に(不定期だけど)書いてく予定です!これは嘘にはしません(((

空いてた期間フォローとお気に入りめっちゃ増えててびっくり👀ありがとうございます!

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