第16話

タルタリヤ 10話
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2023/10/02 21:00
最近、あなたって少し凝った髪型するようになったよね。
タルタリヤがいるから?
でも、恋人のために髪をいじるタイプにはあまり見えないよね。
タルタリヤ
いや? 俺がやってるんだよ。
毎日、俺が用意した髪型で出歩いてるんだ。
ふーん。
ふと、この間の俺はこれから来る想い人との会話を思い出した。
……あれ? あなたってそんな髪型だっけ?
遡ること、テウセルがスネージナヤに帰り、数日がたったある日、あなたの長い漆黒の髪はサイドテールにされていた。
テキトーに一つにまとめていた髪型とは大違いだ。
彼はそのサイドテールを大きく揺らしながら、璃月の街を歩いていた。
レオンハルト
……。
どうしたのさ
レオンハルト
……あなた元奴隷の妖精の髪に触れるというのは、難しいんだ
レオンハルト
妖精は髪、羽、鱗粉、涙、血全てが魔術の希少素材として取引されていてな。
だからこそ、彼ら元奴隷の妖精は触れられることを嫌う
レオンハルト
そんなあなたが、仕事関係なく許せる人ができたんだと考えると考え深くてな
タルタリヤは、髪触られるの嫌がられなかったの?
タルタリヤ
いや? 少し驚いてはいたけど
遡ること、テウセル帰国後、あなたは、座って本を読んでいた。
下ろされた長い黒髪を見て、ふと、触れたくなった。
彼の髪を一房掬う。
その一連の動作に気づいたのか、信じられないほどの速度でこちらに振り返る。
あなた
な、何してるの?
信じられない。そんなセリフが顔に書いてある。
俺も、その勢いに気圧されながらも、答える。
タルタリヤ
いや、髪に触れたいと思って
そのまま、髪に唇を落とす。
あなた
……へ?
彼は驚いたように瞠目し、顔を赤く染め上げた。
あなた
な、何して!?
タルタリヤ
ねぇ、毎朝、君の髪を整えさせてくないかな?
珍しく上目遣いを使い、オネダリする。
彼は、俺の声と顔には弱い。
あなた
……はぁ、いいよ。
あなたは、小さく絆されたなと呟き、ため息をついていた。
そこから、俺の髪を整え係は始まった。
何その独占欲の塊
タルタリヤ
まぁ、飾り気のない彼には、アクセサリーよりもこの方がいいかもと思ってね。
レオンハルト
いや、アイツはそこら辺頓着しねぇから、装飾品でも、髪型でも、服でも変わらねぇよ。
あいつが気にするのは機能性だ。
動きにくいアクセサリーとか服、髪型は嫌がるだろうな。
 来るのを待っていた想い人は、パッと現れて、サッとさりげなく会話に入り込んだ。
タルタリヤ
ふーん。
例えば?
レオンハルト
髪はまとめる方が好きだな。邪魔くさくないらしい。
アクセサリーも服も同じだな。
服に関しては、派手な色は好きじゃねぇだろうけど
そもそも、なぜ、妖精が小さくなり、自然豊かなところが好きかと言うと、身を隠すためだからな。
元来、妖精はあまり目立つことは好きじゃねぇんだ。
レオンハルト
ま、全部、あなたの受け売りだがな。
タルタリヤ
ふーん。いいことを聞いたよ。
タルタリヤ
今度、俺と同じ耳飾りとかを贈ってみるよ
そうして、タルタリヤとあなたの同化作戦は本格的にスタートしたのであった。
To be continued……
なう(2023/10/02 23:32:02)

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