うっすらと戻ってくる意識の中、さっきの黒髪の男と、主様と呼ばれていた人らしき人の会話が途切れ途切れ聞こえてくる
少し重いように感じる体を起き上がらせ、目を擦る
そこには、さっき居た2人と、主様と呼ばれていた人の声の主と、もう1人居た
あ、親子なんだ………にしては全然似てないような………と、思いながらさっきから暁と呼ばれる男にジロジロと見られている
よくよく見てみると、俺以外の人達には漫画とかで見たことある角や耳や尻尾がある。それに、変わった柄の和服を着ている
ボソボソっと、何か言っていたが、残念ながらうまく聞き取れなかった
話しかけやすそうな感じのする人は居なく、小さな声でそう言ってみた
一応、暁という男の父親が返事をくれた
遠巻きに脅しているようにも聞こえる命……って呼んでいいのかな……。まぁ、命さんの発言に、ゾクリとした
急な言葉に、唖然とする俺。しかし命さんは話を進めていく
元いた世界に何年も帰れない事を聞き、幻滅していると、命さんが優しく頭を撫でて
と言ってくれたが、今は休む気にもならない
けど俺は黙って頷いた
すると、今度は抱きしめられた。それにドキッとしたが、何故か嫌ではなかった
信用出来ないが、助けてくれる人が居るだけで、どこかホッとしている自分がいる
使用人らしき人にそう言われ、命さんは俺を離し、付いていくように言われ、大人しく用意されている部屋に向かった
暁が空が居なくなったことを確認すると、襖をパタンと締める
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。