私にこそっと耳打ちしてくる男性。
その言葉を聞いた私は、少しばかり微笑みながら返事をした。
そんな会話を聞いていると、一本の電話が掛かる。
その瞬間、私が抱き上げていた猫は賢治くんの声に返事をするように、にゃぁと鳴いた。
私は辺りを見渡しながら、賢治くんに場所を伝えると、元気に返事をし、通話は切られた。
私が携帯をポケットにしまおうとした瞬間、腕が緩んでしまい、猫が走り出した。
私は猫に夢中になりすぎたせいか、何時の間にか車道に飛び出してしまい、顔を上げたすぐ其処には信号無視をしたトラックが見える。
何も出来ずに、眼を瞑ったが一向に痛みが来なかった。
眼を開けると、私は条野さんに姫抱きをされ、信号無視のトラックは末広さんの手によって止められていた。
……素手でッ!?
私は条野さんの胸板を軽く叩くと、顔を背けながら呟く。
明らかに判っている事を改めて聞いてくる条野さんに嫌気が差し、私は頬を平手打ちした。
賢治くんの笑顔は向日葵のようだった。
長い間、投稿出来ず、すいませんでしたッ!
また次回
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。