第14話

…助けて…
876
2023/02/01 12:19
パーティーの日から3日がたった日…
俺はまだお父様から暴力を受けていた
98回 バシン
長尾謙杜
ッ……
99回 バシン
長尾謙杜
ッ……
100回!バシン
長尾謙杜
ッ……
あれ?今声が聞こえたな…
もう一回最初からだ!
長尾謙杜
ッ……
俺は声なんて出して無い…
しいていうなら…声の出し方を忘れた…
声って…どうやって出すんだっけ…
こんなに…、声を出すのって難しかったっけ…
…3日前までは…普通に喋れていたのが嘘みたい…
でも…これはまだまだ終わらない…
…お父様…楽しんでおらっしゃるから…
鞭が振るわれ、目を閉じる
優希
ッう“
長尾謙杜
…?
痛みを感じない…なんで…?
そのかわり違う人の痛み混じり声が聞こえる
長尾謙杜
ゆ…うき…?
優希
もう…やめてください…お父様…
私に歯向かったらどうなるかわかってるだろうな!?
優希
わかっております…。でも…俺はもう見ていられません…、
優希
お願いします…代わりに私をうってください…
ふふ、いいだろう、よく見とけよ?
長尾謙杜
だ……めッ…
俺の代わりに優希が吊るされた…
バシン バシン
優希
ッう…ッ…
優希が…優希が鞭で…
俺は痛みで動けない…
見ているだけなのに…こんなにつらいなんて…
長尾謙杜
やめ…ッてッ…
まだまだ!
優希に傷ついてほしくない…
いつも…俺のことを支えてくれた優希…
こんな俺のことを…大切にしてくれた優希…
どんなことをしても…笑って許してくれた優希…
今度は…俺が優希を支える番…!
優希を…傷つけちゃ…だめッ…!
俺は立ち上がり、振り上げられる鞭に向かっていく
バシン
長尾謙杜
ッ……
俺は崩れ落ちた…体が震えて動けない…
はは!本当に痛いのが好きなんだな!これでもくらえ!
勢いよく振り上げられた腕…
もう…だめ…
俺はここで…消えられるのかな…?
良かった…これで…やっと…消えることが…
道枝駿佑
やめろ!!!
誰だ!?
誰か…助け…て……
俺は意識を手放した…








あの日から…警察も完全に動き出した…
こっちも完全に証拠は整ってる。
今、迎えに行くからな、長尾
俺は、警察と一緒に中にはいる
ピンポーン
は〜い?
警察
警察のものです。家宅捜索の許可状がおりております。入ります
一体なんなの…!?待ちなさい…!
警察の人はズカズカ入り込んでいく
俺も探す
上へ上へと登っていく
なぜだろう…自然に体が動く…
長尾のことを助けたいっていう思いなんやろうな…、きっと…
一つの扉の前に来た
ここや…絶対にここや…
長尾が苦しんでいるところは…
ここや!!
扉を開けると、父親が長尾に向けて鞭を振りかざそうとしているときやった
道枝駿佑
やめろ!!!
誰だ!?
道枝駿佑
うるさい!このやろう!!!
俺は長尾の父親の胸ぐらをつかむ
初対面だからって関係ない
こんなに長尾のことを苦しめたんや
道枝駿佑
お前…何したかわかっとるん??
これは教育さ。他人にあれこれ言われる筋合いはないからな、ほら、あいつも喜んでいるだろう?
倒れている長尾のことを指す
道枝駿佑
狂ってる…ふざけんな…
俺は父親に向かって拳を振り上げようとした
警察
やめな!手を出したら君まで…!
道枝駿佑
ッ……
警察
取り押さえろ!
そして、父親は取り押さえられパトカーに乗って警察署へ連行された
倒れている長尾の元へ行く
道枝駿佑
謙杜!!しっかりせえや!
長尾謙杜
…はぁ…はぁ…
体が…熱い…
道枝駿佑
救急車!早く!



長尾と優希さんは救急車で運ばれた
全員連行され、俺と警察官が同乗した
救急車の中で必死に長尾に声をかけるが…意識不明…
最悪のパターンを想像してしまった…手が…
道枝駿佑
もっと…俺が…早く長尾のことをッ…
警察
大丈夫。長尾くんは絶対に戻ってくる。道枝くんがしっかりするんやよ
道枝駿佑
…はい…。すみません…。
病院に到着し、治療室で治療を受けている
俺を心配して大吾くん、恭平、流星くんが来てくれた
俺の執事の優真も俺のそばにずっといてくれた
優真
大丈夫です。道枝様。長尾様は必ず帰ってきます
西畑大吾
そやで、みっちー、大丈夫やで。長尾くんは強い子やで!
道枝駿佑
…俺がもっと早く…気づいてあげられてたら…長尾…ごめん…
高橋恭平
みっちー以外誰も気づいてなかった…だけどみっちーは気づいた…それで十分やで…
大西流星
大丈夫、謙杜の生命力を信じよう
優希
謙杜!!
医師
ちょっと!お待ち下さい…!
ふらつきながらも走ってくる
治療室の前で倒れた…
優希
うぅ…謙杜様…ごめん…俺が守ってやらなくちゃいけなかったのにッ…ごめんッ…
医師
戻りましょう…。傷口が開いてしまいます…。
優希
そんなの…構わない…謙杜様の方が辛い思いをしているのに…自分だけが…
優真
優希さん!
優真
長尾くん、あなたが倒れて喜ぶと思います?
優真
最後、長尾くんが優希さんを守ったのでしょう?助けたいって思ったからでしょう?
優真
なのに、優希さん、あなたが倒れたら長尾くんは絶対に悲しみます。
優真
寝に行きますよ。ほら
優希
ッ…そう…だよなッ…ポロポロ
そう言い優真は少し怒りながら、優希さんをおんぶし病室へ向かってった
…優希さんも…精神的に弱ってる…
俺も…こんなところでくよくよしていられない…
そうおもってたら、治療が終わったであろう医師が来た
道枝駿佑
先生…!長尾は…!?
医師
傷口はすべて治療いたしました…。
医師
ですが…傷口が炎上してそのせいで熱が高く意識がもどっておりません…
医師
しばらく様子を見ます…。
道枝駿佑
…そう…ですか…
しばらくして長尾が病室へ運ばれていった
そっと触れると体がとても熱い
…前の…俺が知っている長尾よりも…めちゃくちゃ痩せている…
道枝駿佑
…早く…長尾…戻ってきてや…長尾とやりたいこと…山程あるんやから…
優真
駿佑様…そろそろ帰りましょう…
優真
長尾様が心配なのは重々承知です…
道枝駿佑
…そうやな…みんなも…ありがと…
高橋恭平
おう!
西畑大吾
無理、するんやないで?
大西流星
みっちー、早く寝るんやよ?
道枝駿佑
…またな…
そう言って別れ、俺も家に帰った
ガチャ…
道枝父
駿佑、長尾くん…どうだった…?
道枝駿佑
傷口が炎上して体温が下がらなくて意識が戻らない…
道枝母
そうなのね…
道枝父
戻ってくるさ…。長尾くんは…大丈夫。信じて待ってよう
道枝駿佑
…そうやな…
俺は返事だけし、部屋に戻った
…俺はこんなに長尾のことが心配に…
好きな人やないと…こんなに心配なんてせんわ…
…俺はこんなにも…長尾のことが好きになってたなんて…
また…落ち着いたら告白しよう…
…これから先…何があっても長尾を絶対に離さない
俺はそう、心に誓い、眠りについた

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