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第1話

第一章 幕開けは戦火と共に
401
2022/07/23 13:27
rd
………
目まぐるしく巡った昨日から逃げるべくして迎えた次の日の朝。
かといって寝起きが良いものとは言えない。
gt
おっはよ^^
にこにこと目を細めて喋る目の前のハイエナ、
「の」人獣。

片手には、熟睡中の獣を起こす情景には似合わない物騒な槍が握られていて。
rd
まだ起床時間じゃなくない?
折角の至高の時間を少しでも短くされたのが気に食わず、ガルルルッとぐちつぼに唸ると、ぺしゃりと何も持っていない方の手で軽く打たぶたれた。
rd
え?ええ??お前ルームメイトをぶつって頭おかしいの??
gt
はぁ??らっだぁ、お前遠征の事忘れてんの?
rd
……えッ、
"遠征"という言葉に思わず息が詰まる、


いや、でも、それは明日のはずじゃ……
gt
……あのあるじの事だから、少しくらい早くなってもおかしくないだろ……
rd
はぁぁぁぁああああああ??????
思わず二段ベッドという事も忘れて、身を乗り出して飛び起きる。
二人、身を翻して石床に着地するもまだ眠気は一向に取れない。

そんな俺を見かねてか、ぐちつぼがこちらに荷物をぽいぽいと投げてくれた。
gt
とりあえずお前急がねえと殴られ損するぞ
rd
それだけは絶対許せねえ
身分昇格の時のお金をはたいて、なんなら少し足りなくて、仲間が少し出し合って買ったこの皮鞄、荷物を入れば少しずつ見た目も重くなってきて。

着替えに医療セットに本や寝袋、
rd
これで終わり?
すべての荷物を入れ終わる頃には、見た目だけは重量感のある鞄が形成された。
gt
おう!早く広間行って来い!
ぐちつぼが八重歯を見せて笑う。
その差し出された手のひらに勢いよく自分も手を伸ばし、いい音を鳴らしてハイタッチを交わした。
rd
行ってきます!俺が居ない間お前が仲間守れよ!
gt
行ってらっしゃい!それぐらいお安いご用だわ(笑)


扉を叩き開けて、しっかりとスタートダッシュを決めると、風になびくマフラーを巻くのに苦戦しながらも、らっだぁは城内をかけていった。
























それが一昨日の事。








rd
はぁっ、はぁっ、はぁ…はぁ……
rd
嘘、だろ……?
混乱する心情をかき消すように必死に自分の居場所であった、只今激戦地と化している城へと続く焼けただれた街を走った。
_
おいっ”新兵、急げッ!!!
実際は遠征はあと数日の猶予があったのだが、緊急事態ということで、ともに遠征に出ていた上官の判断で遠征地から俺と二人、城までの尋常じゃない距離の陸路を疾走してきたのだ。
rd
ッ、はい!
城の近くには俺たち親衛隊の宿舎、なんなら親衛隊の俺らは実践では駆り出される予定だった。

でも実力者のその多くは遠征に駆り出されている、


つまり、
"見習いの新兵でもこの戦場に駆り出されている可能性がある”
rd
クソッ…ッはぁ…チッ…!
変な考えを振り切るためにデタラメに足を動かしていると、疲れの蓄積のせいかスピードがガクンと下がる。
_
新兵!
突如、上官の方へ体が引っ張られて体感がぐらつき、立て直せず勢いそのままで俺は上官に倒れ込んだ。
ドサッ!
_
ッ…!
rd
わっ…!?
急いで上官の上からのいて、「すいません」と頭を下げる。
_
考え事している暇があったらもっと全力で走れッ!
もう少しで弓矢に追いつかれる所だったんだぞ!!!?
rd
す、すみませ…!
と、言い終わる前に、バシッ、と上官が俺の肩を叩いた。
_
…そこは、ありがとうございます、だ。…まぁ今はそんなことはどうでもいい、
_
城はすぐそこだ、
_
新兵。
_
生きて仲間の元へ帰るんだぞ
そう言うと上官はまた更に俺の肩を押す、俺が後ろに下がると、腰から剣を引き抜いた上官は立派な狼の耳を立てて、遠吠えを一鳴きし、その尻尾を揺らしながら目にも留まらぬ速さでかけていった。










立ち止まるな、













そうだ、これは戦争なんだ。














訓練とは違って慈悲なんてない。
rd
急がなくちゃ、
rd
仲間の元にッ………!
城まで後もう少し、すがるような思いで俺はマフラーを握りしめながらすでに棒になった足を必死に動かした。




























振り上げた拳で、何度も何度も人間の急所を狙う。

防具もなにもない生身の拳は、筋肉や骨を叩き割る感触をなんとも不格好に脳に伝える。
時折、殴りすぎて割れた頭蓋骨から飛び出た血液を眼前に受けたが、そんなことを気にしていられない。

rd
カ"ルルルルルルア"ア"ア"ア"ッッッ!!!!!
_
ひっ…ぁ"あ"ッ
石造りの廊下に転がっている敵か味方かもわからない凄惨な死体の数々。

鉄錆のような異臭が漂う城内を、時折現れる敵を蹴散らしながら王室を目指す。
初めて感じる人を殺める感覚と、気色が悪い生暖かさ。

吐き気を催す、自分が片付けた肉片から逃げるようにも、俺は走る速度を上げた。
rd
はぁ…はぁ…っ……











この通りの先には王室、はやる思いで扉に駆け寄った時だった。
_
た…たすけてッ…
rd
か細く聞こえた同期の声。
扉を叩き開けるとそこには
rd
血濡れたという表現がお似合いな、なんとも血なまぐさい光景。

白い大理石に飛び散った血液は、床にも壁にも満遍なく広がっている。
戦争を何度か見たことがある俺でも、目を逸したくなるような惨状。

それが仲間のなのかなんて考えたくもなかった。
_
お、遅いぞっ……この間抜け犬共がッ…
玉座の後ろで腰を抜かしていた王が、こちらに手当り次第に物を投げつけてくる。
いや、今そんなことはどうだっていい。
rd
どういう状況なんですか…これは……
唇を噛み締めながら、怒りを殺して王を見る。

すると王はにやりと口角を上げてこう答えた。
_
肉壁になったんだよ肉壁に、お前らみたいな見習いが主のために尽くせることはそれくらいだろ?
当たり前、とでも言うように王はそれだけ言うと「はやくワシをこの国から脱出させろ」とこちらに向かって歩いてきた。
途中、俺の仲間の頭を蹴って。
rd
…左様ですか……少々失礼いたします…
自身のニット帽をとり、先程頭を蹴られた同期の顔に乗せる。

誰だって死に顔を見せびらかされたくないだろうから、
ごめんな、お前は誰よりも笑顔が似合うやつだったのに。

最後に何を見たのかも語れぬ血がこびりついたその死に顔は、きっと俺たちが過ごしてきて一度も見たことがないほど引きつっていた。
rd
ヴァイ…ご冥福をお祈り申し上げます……
そして彼の内蔵が開かれた体にも、自身のマフラーを軽く乗せた。

俺にはこれしかできない、




ごめんな。






軽くまぶたを閉じて祈りをしていれば、
王の怒鳴り超えが部屋に響く。
_
何をしている!はやくワシを連れ出せ!!!
rd
はい…只今…
一際重なり合った死体を横切った時だった、
ルイ
ら…だぁっ…
rd
!?
rd
…おいッ、ルイ、お前どこにッ…!?!?
小刻みに痙攣している手が、重なり合った死体の中で微かに動く。
rd
そこか!よし…今助けるから……!
そう言って俺はそのもう異臭のしはじめた死体にかけよった。

瞬間、
_
巫山戯るなッッッ!!!!!
rd
ッ…!?
俺の頭頂部に走る鋭い痛み


殴られた、と気づいた時には既に流血しており、ぽたぽたと血液が落ちてゆく。
rd
……え…、
_
俺の命令が先だろうっ!!!!王の命令は絶対だろう!!!
そう叫んで王は俺の胸ぐらを掴んで引き寄せる。
_
なぁ!?!!!お前はこの国の犬なんだ!!!!わかるだろう?!!!!
rd
ッ…!
_
そうだろう!?!!!お前みたいな犬を養っているのは誰だ!!!!!?ここまで育ててやったのは誰だ!!!!?ワシだろう!!?お前はワシの命令を一番に聞かなければいけないんだ!!!!
だんだんと強くシャツを握る王の形相に、どうにかして仲間を助けられる方法がないか必死に頭を回す。
rd
(……仕方ないが、先に王を適当に逃さなければ…)
_
お前はワシの命令に従っていればいい…
rd
……はい、
まずは王を鎮めて早くこの場を去らなければ、そう思い話しをできるだけ合わそうとした時だった。
_
___そう、
不意に、王が地面で既に虫の息となったルイに指を向ける。
_
だからそんな命、見捨てても誰も恨まないぞ
そう言って王は返り血に染まった顔で俺ににっこりと笑いかけた。








ぶわっ

_
…!?お、お前、い、一体何を……うぐッッ…!!!
途端、体内を駆け巡る黒い感情。

俺は迷わず衝動に身を任せて王を床に投げ飛ばす。
_
こ、こんな事していいと思っているのか…ッ!?…ひっ…やめろおッ……
rd
……
面白い程遠くに飛んだ王の元に、わざとらしくゆっくりと移動して詰め寄る。

その間も、王は腰を抜かしたようで間抜けにも、騒ぎながらひっくり返った亀のように這いつくばっていた。
近づくに連れて曇っていく王の表情も虚しく、俺は王の顎を掴んで床に押し付けた。
_
ッ……!?…やめろッ…おい…ッ…
顎を押したまま仰向けになった王の上に乗ってやれば、見えるのは不規則に動く喉仏。

そこに牙を剥き出した口を近づけてやれば、「ひいっ…」と王はバタバタと暴れた。
rd
……何か言い残すことは?
_
…ッ!お、お前ッ…そんなことしていいと思ってッ___!?


バキャリ、










そんな無機質な音がした後に、
数回王はビクビク震えると急に動かなくなった。

溢れ出るたくさんの赤。



口に残る鉄の味、



ピンとたっていた耳が痛かった。












rd
(終わ、……った…)
不意に襲ってきた安堵と開放感と、倦怠感。

ソレを振り払うように、俺は適当に右袖で自らの口元を拭った。
rd
…あ、ルイッ……!
rd
大丈夫か…!?
返事こそは無かったが、トン、と彼は指で床を一回小突いた。
rd
…どうしよう…、まずは動かすから、止血するぞ…
そこら辺の、カーテンのレースやらを破り、清潔そうな布で傷口を結んでいく。
白かった布はあっという間にじわじわと赤が滲んできて、彼の傷口の深さが伺えた。
rd
…クソっ……血が止まらねえ…、おい、どうすれば…ッ…!
腹部の傷が想像よりも深く、強く布を結ぼうとすぐに血が浮いてくる。


ある程度処置はしたし、そろそろ長いするのも危険かと思い、まずは移動しようと、ルイを背負ったときだった。
kn
…遅かったか、
rd
!?
振り返ると、暗いローブを羽織った男が、王の死体を舐めるように見ていた。



どこから入った、敵か、どう逃げる、言い訳できるのか、ぐるりと思考が回るが体は男を殺そうとふつふつと体温を上げていく。
rd
…何しに来たんだ…?
問いかけると、男は簡単にこちらに振り向いた。

奇妙な面をつけた男は王の死体と俺を見比べ、軽く小首をかしげる。
kn
…王を殺したのは貴方ですか?
rd
…そうだ、……だけど、質問を質問で返すな、答えろ
ルイを背負いながら、男に自分の爪を見せしめ威嚇する。
kn
…貴方はこの国が好きでしたか?
rd
…は?
kn
仲間が大層大事なようですね
rd
ッ…だからなんだよッ!!!
ガルルル、と軽く唸ると男はくすくすと笑った後、俺にこう言い放った。
















kn
……貴方が、次の、この国の王になりませんか


ぶわり、と全身の毛が逆立つ。






まさか思いもしなかった。

このあとの安易な選択のせいで、






あんな光景を見せてしまうことになるんて_____。


















第一幕 序章 幕開けは戦火と共に。



おわり。




どうもこんにちは。



ひつじです。

rd運営の小説つくりました。
よかったらご賞味ください。

設定とかは後ほどまた載せます。

消えたらごめんなさい。


もしよければ宣伝などもお願いしたいです!

基本rd運営さん中心の建国話です。
あまり詳しくはありませんが、自分なりに肉詰めして考えていこうと思っております。



一体knさんは誰なのか、

rdはなんの選択を間違えたのか、

それらはまた次の小説にて。

閲覧ありがとうございました。

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