第2話

❁⃘🫧
40
2023/02/25 16:51


重いリュックを背負いながら、家路をたどる。

私の家は学区内ではあるものの、学校から

遠く、最寄り駅まで電車を使った方が効率が良い。

だが学校で定められているので、歩いて

通学している。

午後18時過ぎ。今日は塾がないので家に

まっすぐ帰っている。

父は公務員。母は会社員で在宅勤務。

そして一人暮らししている大学生の兄の

4人家族だ。
佐伯 美月
ただいま〜
佐伯 柚月
おかえり〜。お母さん仕事終わったよ
ご飯作らなきゃ。美月も
手伝って


今日の料理は私の大好きなシチューだ。

母が奮発して美味しい具材を買ってきてくれた

みたいだ。
佐伯 美月
わかった。手洗ってくる。
佐伯 柚月
祐希は元気かな〜。勉強頑張って
るといいけど。
母が微笑みながら話す。
佐伯 美月
元気だと思うよ。お兄ちゃんに
昨日連絡したけど、元気にやって
るって言ってたもん。
佐伯 柚月
ふふっ、ならきっと元気ね。
お父さんが帰ってくる前に作り
終えましょ。
佐伯 美月
そうだね
にこやかな母に私も思わず微笑んで返事をする。
佐伯 義昭
ただいま〜。今日はもしかして
シチュー?凄いいい匂いする。
佐伯 義昭
♪♫
父が上機嫌に帰ってきた。
佐伯 美月
そうだよ、お父さん。
今日、シチュー!
私が父に笑顔で話しかける。
佐伯 柚月
おかえり〜。もうちょっとで
出来上がるから待っててね♡
佐伯 義昭
俺も一緒に作る。
佐伯 美月
お父さん下手くそだから不味く
なっちゃうじゃーん
佐伯 義昭
なんだとー?
佐伯 柚月
ほらほら2人とも
結局みんなで一緒に夕飯を作る。

とても幸せだけど、どこか物足りないような。

当たり前の日常。




後日
月桃 右納
美月おはよ〜
佐伯 美月
おはよう、右納
紅玉 環
はよ、美月
佐伯 美月
おはよ、環。
月桃 右納
ね〜、2人とも聞いた?
突然右納が深刻な眼差しでこちらを見つめる。
佐伯 美月
え、何?
紅玉 環
どうしたんだよ、急に。
お前らしくねーぞ?

その真面目な表情に驚き、思わず固まってしまう。

それは環も同じようだった。
月桃 右納
これ見て。
右納が何やら深刻なおもむきでスマホの記事を

見せてくる。

この学校は校則が厳しいが、何故かスマホの

所持は許されている。

それがとてもありがたい。
紅玉 環
え、ゾンビウイルス?ラノベか
何かか?

そこには、人をゾンビに変えてしまう未知の

ウイルスの存在について書かれていた。

感染者の体液が人の体内に入る事で感染すると

考えられているが、詳しい感染経路や感染源、

治し方は不明らしい。

感染した人はゾンビになり、理性を失って

人を傷つけたり暴れたりしてしまう。

傷をつけてもすぐに戻り、今のところ、

脳か心臓を破壊する以外に止める方法は

見つかっていないようだ。
佐伯 美月
何このアニメみたいなウイルス。
本当にあるのかな?
紅玉 環
なんか嘘くさくね?
デマじゃねーの?
月桃 右納
んー…それが結構信憑性高いんだ
よね、この記事。政府が出してる
から。
佐伯 美月
政府?国家公認ってこと⁈
紅玉 環
おいちょっと待てよ、昨日っつーか
今さっきお前に聞くまでこの
ウイルスの話やニュースなんか
一度も聞いてねーぞ。
佐伯 美月
た、確かに。誰もゾンビウイルスの
話なんかしてないし、今朝のテレビ
にもでてなかった気が…
紅玉 環
だ、だよな。疑って悪ぃけど
お前が嘘ついてることは無いのか?
月桃 右納
そりゃそうだよ。だってこれ
10分前に出されたニュースだもん
今朝のテレビには出てなくて当然。
紅玉 環
マジかよ。そんなものが実在
するなんて!
月桃 右納
嘘はついてないよ。正直私もかなり
戸惑ってる。
佐伯 美月
だよね。ゾンビなんてアニメや漫画
みたいなファンタジーの中でしか
見たことないもん。
私たちは教室がいつもとは比にならないくらい

騒がしくなっていることに気づいた。

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