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第1話

creation.—始まり—
57
2024/01/12 13:48


第1章

いつの頃だろうか。
夜が明けなくなってしまったのは。
もう忘れてしまった、
いつから夜が明けなくなってしまったのか、
きっと…″それ"を忘れてしまったのは
もう夜が明けなくなったことに
関心がなくなった、ということだろう。

そして、

この世界に僕が生きているという事にさえ
関心が無くなってしまっているという始末だ。

余談だが、この世界では四六時中、
街灯が街を照らし続けている。
今より前の人たちは
この夜景を見にこの世界まで
来ていたんだとか。
今を生きている僕には全くの関係の無い話だ。
そして僕以外の人たちも
朝が来ないという事に
関心がないのか口に出さない。
当然の事だろうが。

「こんな事を考えていても、時間の無駄だ。
少し外に出てみようか。
いわゆる気分転換っていうやつだな。」

そして僕はコンビニに足を進める
これといった用事は無いが
そんな事関係なく行動するのが、僕である。

チャリ〜ン
「いらっしゃいませ〜」

コンビニに着いた。
僕は相変わらず店員が
野球チームを作れるぐらいの
程の人の数に唖然とする。

「さて、何をしようかな。」
ここで何も考えず
行動する僕の短所が
裏目に出た。
何をするのか
僕は脳をフル回転させて考える。

「とりあえず飲み物でも買おうかな。」
と思い特別馴染みのある
飲料コーナーに足を進める。
何を飲むか迷っていた時、
僕の背後に
凄まじい「悲しみ」を感じた。
少女…?、いや僕と同じくらいの
歳の女の子が
顔を涙でしわくちゃにしながら
鋭い刃物を持ち僕の背後に立ちすくしていた。
刃物を持っている背後にいる女の子を
前にして、僕は、——は、
何も恐怖など感じなかった。

『あな…をっっっお前…を…、、殺……、っ。』
と女の子は嘆いていた。
でもそのすぐ後に
『………た…すけ…て、、』
そう僕に言った気がした。
そして僕は無意識に君の手をとり
この広い世界に身を投げた。

「「何をしているんだ。」」

殺人未遂を犯そうとしている、
この"女の子″に救う価値などあるのだろうか。
そう考えるのが普通なのであろう。

だが今の僕には
そんな『かんたん』なことさえも感じず、
ただただ名前も知らない君を救うことだけが、
今ここにいる存在意義だと思うほどに

僕は「ボク」に依存していたのだ。

To be continued→

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