第7話

Memory-記憶-
25
2024/01/27 13:40
第7章

僕は君の太陽になれたかな。

なれてたらいいな。

『ここは…どこだろう。
どこを見ても真っ白で何も無い。』

『そっか…なんとなく分かったよ。
君にもう会えない理由。
僕はもう人間じゃない。
この空間そのものになってしまったんだね』

そして僕にはもう君におはようと言う
チャンスは訪れないんだね。


でも僕は後悔していない。


嘘…やっぱ寂しい。





僕は、ある時ただの平凡な人間だった。
齢5つの時、交通事故で両親を亡くした。
両親を乗せた軽自動車は
トラックと正面衝突したんだとか。

親族からは同情の目を向けられ、
正面衝突したトラックの運転手も
死んでいるため謝罪の
言葉を聞くすべもなく、
僕は身近な人に愛される権利さえも失った。


それを気に僕は、
知り合いのおばちゃんの家に
居候することになった。
とてもいいおばちゃんだと思っていた。
ペットとして飼っていた、
猫をおばちゃんが殺すまでは。

後からおばちゃんのことを
知っていた人間に聞くと
おばちゃんは躁鬱だったらしい。
ストレスが溜まる度に
おばちゃんは猫に餌を与えなかったり
暴力を僕に隠れて猫に奮っていた。
でもねおばちゃん僕知ってたんだよ
全部。
急に、猫が居なくなった事を
不思議に思っていた僕にかけた言葉、
「ごめんね、、猫ちゃん首輪を外して
どっか行っちゃったの。
私の不注意だったわ。ごめんなさいね」
という言葉が完全なる嘘だということも。
分かってたんだよ。

そして、
そんなこともありながら
完全に僕とおばちゃんが
打ち解ける前に、
おばちゃんは死んだ。



おばちゃんは自分で、死んだ。


おばちゃんは
僕に相談なんてするはずもなく
1人孤独で死んだ。

医者や、警察の人、親族が
口を揃えて、こう言う

「孤独死だ」って、

おばちゃんは自分で死んだんだ、
だけど、孤独死ではないって
その時の僕は胸を張って
言うことは出来なかった。
否定しなかった。しなかったのではない
出来なかったのだ。
おばちゃんには、僕がいた。
僕がいたんだよ。
紛れもなくその隣には、僕という存在がいた。



その頃だろうか、、いや違う。
多分両親が死んだ時だ。
僕の心の、

夜が明けなくなったのは。


ある時僕は平凡な人間だった。

学校には普通に通えるはずもなく
中卒で現在の成人するまで、
バイトを何個も掛け持ちし、
仕事に明け暮れる日々を送っていた、

あの時の僕はそれが平凡な人間に出来る
存在意義だと思っていた

君に出会うまでは。

君が僕を変えてくれた。
何百回も君は僕を変えてくれた、
彩ってくれていた。
君に会えてよかった。



君、、君に…、、、、

き…き、キ、、キミ

あれ、、キミの名前って……、、
ボクの名前って、、、










キミって、、誰の事だっけ。


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