第35話

A Rally(1)
1,058
2021/08/19 17:00


ーー今日は7月19日。




2週間近く、袖に腕を通していなかった特攻服に身を包む。

三ツ矢が採寸してくれた真っ黒な生地の特攻服には、金色の刺繍が丁寧に施されている。



右胸には『天上天下』、

左胸には『唯我独尊』。

黒いズボンの左腰下にも『神卍風』。



右袖には『暴走卍愚連隊』の字が幾重にも重なった錦糸で書かれている。




反対側の左袖には通常、役職名がしっかり刺繍されているのだが、

肝心なその左袖の部分に、私に宛てがわれた役職の名は示されているものの、

今では読める者どころか、認識している者さえ少ない。




ここ近年、私がその仕事をしているところを目撃した東卍の人間を、

万次郎達以外で果たして居ただろうか。


あなた
今度三ツ矢に頼もうかなぁ。
流石に隊に入ってもないのに『隊長』は痛すぎる。


佐野家の自室に置いてある姿見の前で、左袖の刺繍の『隊長』部分をそっと指先でなぞる。

あなた
うん、外して貰お。隊長って言うからには、やっぱ隊が要るだろうし。


後頭部で1つに纏めた髪の束を上部から毛先へと撫で、崩れやすい前髪を再度整えた。


そして、最後には東卍の人間として人前に出る時に付ける香水をこの身に纏う。


『シュッ、シュッ』





今でもずっと大好きな私の " 兄 " が、

昔、私に贈ってくれたものだ。




中身はとうに無くなってしまったが、

貰った当時の容器は部屋で飾り、

同じ匂いのものをリピートして購入しては何度も使っている。

あなた
この匂い、本当に好きなんだよねぇ…
あなた
ずっと気に入って使ってる。


今し方、香水を付けた手首に鼻を近づけ、くんくんと香りを嗅ぐ。







『これなら男とか女とか関係ないだろ?気にせず付けられるだろ?』



瞼を閉じれば、いつだって、シンプルな小さな紙袋を私の前に差し出しながら、



『俺と同じやつだけどな!』



と、穏やかな笑みを浮かべた " 兄 " の姿が自然と浮かぶ。





あなた
…真兄、行ってくるね。





ーー今日は7月19日。




愛美愛主との抗争を東卍内でどうするのかを問う、


決起集会の日である。











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【作者's 小話🗣💬】



今日 8月20日はマイキーこと佐野万次郎のお誕生日ですねっ🎂✨


お誕生日おめでとう!


貴方の蹴りに見初められて、

今ではずっと中途半端だった上段回し蹴り(顔面への蹴り)を率先して練習するようになりました😌🙏🏻


いつかあれだけ綺麗にキマる蹴りを繰り出せるような人間になりたい!

((という訳で、最近は習い事のモチベ上がりまくりです。これも全てマイキーのお陰だね🐶))






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