(おまけ)
チーフ「本当に知らないんですよ」
北斗「嘘だあ。」
チーフ「いや嘘とかじゃなくて、、」
急に去っていってしまった彼女の居場所を、チーフに問い詰めたが答えは得られなかった。
チーフ「自分は本当にわからないんですが、」
北斗「?」
チーフ「岡田さん…岡田准一さんに聞けばわかるかも、」
北斗「えっいや、えっ、ハードル高いな。でもそれしかない?」
チーフ「は、い。う〜ん、あ!…いやどうかな。」
北斗「心当たりあるの?」
チーフ「一個だけ、…もしかしたら、今日収録の音楽番組なんですけど…」
北斗「?うん、?…?」
北斗「すいません、あの、岡田あなたさんの、…」
梢「…!あ!!松村北斗さん!お疲れ様です、はい、そうですそうです」
名前を出したらすぐわかったようで、ご自身の名刺を差し出して挨拶をしてくれた。
北斗「えっと、谷端さんは、岡田さんとは学生時代からのご友人、なんですよね?」
梢「ええ、そうです。腐れ縁でして…、」
北斗「そうなんですね、…あの単刀直入にお伺いしますと、岡田さんがどこにいるかご存知ですか、、?」
梢「えっ、あ〜、わかりますよ。教えましょうか。」
複数組が参加する音楽番組に、あなたさんの友人が来ているとチーフが教えてくれた。
いただいた名刺を見ると今日出演があるアイドルの所属事務所だった。
なるほど、あなたさんと同業者なのか。
北斗「教えてくれちゃうんですか?」
梢「うーん、岡田…あなたが松村さんに知らせていない以上、教えない方がいいのかもしれないですけど…」
まあ、そりゃそうだ。
こんなこと言ったら教えてもらえないかもしれない、と今更若干後悔する。(もう遅い)
梢「彼女のことは、まあなんとなくわかってるつもりなので、大丈夫です。」
北斗「あ、そうですか、…。」
谷端さんから住所のメモを受け取る。
北斗「この住所…、」
梢「彼女の地元ですね、今は実家の方に。月島のマンション引き払ってから、うち来てもいいよーって言ったのに、迷惑かけたくないとかなんとかで。真面目ですよね。」
北斗「そうなんですね…でも岡田さんらしいかも。」
梢「ですよねw…松村さん、後はよろしくお願いします!あ、彼女には内緒ですよ。」
笑い方が彼女によく似ていると、話しかけたときから思っていた。
谷端さんと話していてずっと不思議な感覚だったのは、それが理由かと思ったがそれだけじゃない。
「松村さん」の呼び方が、言い方が、あなたさんと似ていたからだ。
北斗「ありがとうございます。」
きっと喜ばれないかもしれない、困らせてしまうかも。それでもいい、俺がそうしたいからする。
あなたさんに、会いにいくんだ。
今度こそ、了
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!