第31話

「生きてる姿が嬉しいんだよ。」 紫桃
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2024/04/30 14:12

※紫桃
 付き合ってる
 桃くん入院中









~いるまside~

俺の彼女、らんは難病に侵されている。
昔はそこまで酷くもなく、二人で遊んでいたものだ。

いまや、記憶が薄れている程には遠い記憶となってしまった。


毎日個室で寝たきりの多いらんに、俺は毎日会いに来ていた。
大抵適当な雑談をしつつ、らんの世話をすることが俺の日課だ。

…ただし、最近のらんは吐き気が酷く、全く持って食事に手を付けていなかった。
点滴が日々増えていく姿は、あまり見ていたいものではない。

そんならんが、である。

🎼🌸
お腹空いた。
🎼📢
……え。

意味を理解するのに遅れた。

だが、少し申し訳なさげならんの表情を見て、すぐに意識を取り戻す。
危ない。あまりの嬉しさに意識が飛んだなんて言えねーな。

🎼📢
く、食えるのか?体調は、大丈夫なのか?
🎼🌸
うん!なんか、今なら食べれる気がする!
🎼📢
っ…!ちょっと待ってろ!買ってくる!!
🎼🌸
いるま!?

一瞬で病室から売店へと走る。
途中で誰かに怒鳴られた気がしたが、あとで謝ればいい。
今は、らんに食事を届けることが第一だった。


🎼📢
…はっ、はぁ…!買ってきた、ぞ……!
🎼🌸
え、もう?それに俺の好きなやつだし…
🎼🌸
……ありがと!
🎼📢
…あぁ。

久々に見るらんの満面の笑みに、財布の有り金全て叩いた甲斐があったと感じる。

らんの好物名いっぱいを机に広げると、らんは嬉しそうに口に運んだ。
🎼🌸
…ん~!美味しい!
🎼📢
…そうかよ。よかった。
🎼🌸
んふふ。なんか久しぶりだなぁ、この感じ。
🎼🌸
ね、これ全部、俺がもらっていいの?
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もちろん。らんのために買ったんだからな。
🎼🌸
こんないっぱい食べれるかなぁ…www
🎼🌸
でも、ありがと。俺いま、すごく幸せ!
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…なら、なんだっていい。

らんは一生懸命に食べ物を食べる。

噛む姿も、飲み込む姿も、何もかもが久々のような気がして。
らんがちゃんと生きてる証拠を見れた気分になれて、涙が出そうだった。

🎼🌸
…そろそろ、かなぁ……
🎼📢
もう腹いっぱいなのか?

まだ数口食っただけ。
だが、限界だとも言いたげにらんの腕が下がっていった。
🎼🌸
いや、もう腕が疲れちゃって。
🎼📢
じゃあ俺が食わせてやるよ。
🎼🌸
へ?
🎼📢
ほい、あー…
🎼🌸
…んむっ。
🎼📢
美味いか?
🎼🌸
美味いよ!ありがと!
🎼📢
よし。

所詮「あーん」と言われるものを、何度もらんにやる。

そのたびに、らんは幸せそうな顔をしてもぐもぐと食べた。


そういやこういうの初めてだな、なんて今さら実感する。

付き合い始めたころには恥ずかしさでなかなか恋人らしいことをしてやれなかった。
…それを後悔したときには、既に病がらんの身体を侵食していたのだが。

🎼🌸
あーんなんて久々。いるまにやってもらえてうれしい!
🎼📢
…そーかよ。

あまりにも真っすぐな目で言うものだから、つい照れてしまう。
俺一応彼氏なんだけどな…
🎼🌸
…あれ~?いるまさん、照れてるんですかぁ~www
🎼📢
うるせ。お前が煽ったせいだからな?
🎼🌸
ふぇっ!?

らんの腰を抱いて、唇を重ねる。

久々だからか、らんの唇は少しかさついていた。


病人だから軽く触れる程度にして、顔を離す。
目の前には、顔を真っ赤にした可愛い恋人がいた。
🎼🌸
ちょっ、いるま!?
🎼📢
かーわい。最近できてなかったしな。
🎼🌸
そ、うだけど!でも何で今…!
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なに、嫌だったん?
🎼🌸
嫌じゃない!
🎼📢
じゃあいいだろ、らーん?

そう甘い声で言えば、すぐにらんは堕ちてしまう。
🎼🌸
…いいよ。う、うれしかったし。
🎼📢
ふっ、お前顔真っ赤だぞ?
🎼🌸
お前のせいだわ!もう寝る!
🎼📢
はいはい、よかったな。食べれて。
🎼🌸
……うん!

そう言ってらんは横になり、すぐに寝息が聞こえてきた。

その間に俺は、らんの食べかけを片したり食べたりと処理をする。


パッとらんを見ると、安心したような表情で眠っていた。


…らんはいつまで生きるのだろう。

完治する治療法はないと、医者から聞いたことがある。
そして、長生きする可能性が高くないということも。


それを考え始めると、自然と気分も下がってしまった。

…やめろ、いるま。辛いのはらん。俺は、らんを支える以外に選択肢はない。


そう自分に渇を入れ、俺はまたらんの食べる姿を目にすることを願った。

生きてる姿を見る時が、俺にとっての最高の時間だから。





看護系?入院系?の話って良いな…と思い始めました。主です。
現実と違う部分あったらすみません。


では、また次の物語で!

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