「浦田くんは、優しくって一緒にいるとすごく、穏やかな気持ちになれる。
だけど………。だけど、やっぱりなんでもまっすぐしか走れない悠のことが、わたしは好きなの」
ごめんなさい………。
浦田くん……。
「……まー、何となくわかってたけどさ。俺といたって、桧山の頭ん中にはいつもあいつがいたもんな。」
「ごめんなさい」
「そんな謝んなよ。」
「……ありがとう。……好きになってくれて。」
そう言うと、浦田くんはわたしの肩にこつんと頭をのせた。
「う、浦田くn…」
「俺、桧山にいじわる言ったんだよ。」
「え、」
「ありがと、桧山。じゃあな」
最後は、笑って送り出してくれるんだね。
こちらこそ、ありがとう。
「うん。ばいばい浦田くん」
"あいつの "大事" は桧山とは違う気持ちだよ"
「…本当は嘘だけど。……あーあ、自分で気づけよな桧山。ゆーくんの気持ち。」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!