第4話

過去編〜好きになる前の君〜
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2024/02/03 15:19
あの入学式から2週間が経過した


色々あった


まず、赤髪の人と同じ部屋だった


最悪


名前は...リドル・ローズハートというらしい


そしてその1週間後、リドルは前寮長に決闘を挑み



勝利した


入学式から僅か1週間で寮長になるなんて凄いと思う



でも、僕は嫌いだ


どうせ、このハーツラビュルにある
馬鹿らしいルールを忠実に守るんだろう


嫌いだけど。でも、努力はみとめる


この前も図書館で勉強していたとこも
魔法の練習をしていたことも
振る舞いを気をつけていることも


全部知ってる


でも、嫌いだ。大嫌いだ
まるで僕の.......





兄みたいだから
僕は優秀な方だと思う。だからテストなどはいつも満点だし、やばかったとしても90点くらいだ


魔法だってそれなりに出来る


ユニーク魔法だってある


僕と血の繋がりがある兄も
僕に出来ることは何でもできた


優秀だった。いや、優秀すぎた


長男だから、男だから、自分の息子だから、優秀だから。そんな理由で母さんは兄さんを自殺に追いやった
母さんは僕に責任転嫁した
自然と涙は出なかった


出せなかったのだ
バカバカしく思った


だってそうでしょう?


大好きな兄さんが馬鹿馬鹿しいルールに"母さんに認められること"に囚われて。自分から死への道を歩んだ











僕を置いて
許せなかった。どうして僕を置いていったのか


どうして1人で抱え込んだのか


どうしてあんな母親に認めて欲しかったのか
そんな兄と似ている彼が許せなかった
どうせあいつも、近いうちに自ら死への道へ歩んでいく。大切な人たちを置いて
彼と仲良さそうに話していた上級生の彼や、他の人たちを置いて。消えていくんだろう
そう、確信していた



いや、確信してしまった
実はあの日以来話したことがある
僕は彼に問うた



「なんで、そんなにルールを守りたいの?」


彼はこう答えた


「君には関係ないだろう...!」


でも、本音がわかる


わかってしまう


「ルールを守らないと、大切なものまで奪われてしまう」


そんな心理状態で無理をして無理をして


結局何もかも失って周りに迷惑をかける


そんな薔薇の棘のような存在


表の彼は美しく咲き誇る深紅の薔薇


裏の彼は弱々しい薔薇の棘


彼は彼を形作ってる茎を守りたいがために、水を上げないと。と躍起になって水をあげすぎて茎や自分もろとも枯れてしまう


そんな馬鹿な薔薇


兄さんも、そうだった
兄さんも彼も酷く美しい


そして、馬鹿だ
僕はもう兄さんを、彼を信じない
関わりたくもない
だってそうだろう?


枯れてゆく花に目をかけるなんてよっぽどのお人好しだ。僕はそんなお人好しではない


枯れるとわかっていながら関わる奴なんて、どこにいる?


いるとしたらそいつも馬鹿だ
だから僕は彼が嫌い。大っ嫌いだ

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