やっぱり本物じゃなかったんだ、偽涼介はどうなったんだろう。
あのビルは一体何を目的に涼介を作ったんだろう。
私の頭には、涼介への疑問で埋め尽くされていた。
私はある作戦を立てた。
あのビルへ行く→こっそり盗み聞きする
やっぱりこーゆーのは、いけない事だって分かってるけど…
何故作ったのか、知りたくてしょうがないの。
作戦を実行する日がやってきた。
私はビルの前で立ち、
ゆっくりと深呼吸をして、
黒い洋服を着た人と紛れてビルの中へ入った。
予想以上にビルは広くて、人が多い。
こんな所でバレたらまずい、と
段々私の額に汗が滲んできた。
前に会った事がある人が通りかかった。
涼介以外の人形も、故障し始めている、
という事か …… 。
どうしたら作られた理由を
壁に隠れながら考えていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!