2008年3月3日
幸いな事にあなたの下の名前の呼吸を助けていた器具は1週間で外された。蘭がこっそり持ってきてくれた止血剤のおかげだ。もちろん春千夜には話していない…そんな中、ひな祭りとなった今日。春千夜は沢山の果物を持ってお見舞いへとやって来た。
コートを羽織り扉に手を掛けた春千夜は、笑顔を見せあなたの下の名前に中指を立て病室を出て行った。彼にも考える時間が必要だ…だがあなたの下の名前には時間が無い…直ぐに万次郎に「二人で話したい」と連絡をする事にした。すると万次郎は1時間程で病室へと顔を出してくれる
こうして退院したら始まる裏切り者としての生活。
あなたの下の名前はせめて入院中だけでも楽しく暮らす事にした。
2008年3月17日
今日は退院前日。医師からはもう治療の術が無いと言われ、蘭と若狭は何とかしろとあの闇医者に頼み込みに行ったらしい…だが、最後の苦しみを和らげる薬しか無いという現実を突き付けられ、病院に顔を出すことが増えていた
咳き込み少し噎せると、蘭は「長居も良くねぇし帰るか」と声を掛け竜胆たちを退出させる。本当に気の利くウザイ男だ…それから数分後、蘭は1人で病室へと戻ってくる
翌日、あなたの下の名前がアジトに戻るとその日の夜中…部屋に離婚用紙を置いて若狭と共にアジトを出て行った。そしてボロなアパートに身を隠せば、武道の家までの送り迎えをしてくれる若狭。だが若狭が手伝うのはそれだけだ。それ以上は何もしない……彼は梵天な戻って2人を見守らなくてはならないのだから。
3ヶ月後の6月14日
あなたの下の名前が薬を飲むと、少し楽になる。だが梵天の裏切り者に休息はない…万次郎は探せとも言ってないはずなのに、部下は今日もアパートに乗り込んでくる。これで引越しも何件目だろうか…きっと春千夜の指示なのだろうけど…無駄に命が減るだけだ
そう銃を向けた4人の男たちを瞬殺するあなたの下の名前
春千夜……
早く私を諦めてよ…
これ以上されたら
春千夜に会いたくなってしまうんだよ
春千夜……
貴方にはもう他に頼れる人居るでしょ…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!