山田くんに連れてこられたのは
「え、ここって…」
『図書室』
うん、でも、本棚には一冊も本が入っていない。
『知らないの?今は使われてないんだよ。』
「へー…。」
私は本に全く興味がない。
〝この学校に図書室なんかあったんだ〟レベルの人。
「で、なんで突然こんな所に?」
今も山田くんは無表情。
『お前さ、あいつの事が好きなのか?』
は?あいつって誰?てか、それよりも
「やっぱあんた、それが素なんだね。」
私の言葉にピクっと眉を動かした。
『お前には関係ないだろ。』
「じゃあ、なんで連れてきたの?」
私の言葉で山田くんは口を閉ざした。
「私に関係ないなら、もう話しかけないで。」
そう言い、山田くんを残して図書室を出たら、丁度よくチャイムがなった。
「あーあ、遅刻じゃん。」
よく分からない事に巻き込まれた。
素も見せられた。
何だったの?
〝お前さ、あいつの事が好きなのか?〟
頭ではあいつの言葉がぐるぐる回っていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。