第33話

今、何をすべきか
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2022/08/27 02:13
あなたside
話が終わった後、私はミカサやアルミンのもとに戻った





調査兵団に入るとエルヴィン団長には伝えたが、私はエレンと違い、まだ正式な団員にはなれない





所属兵団を選択する日に、私はやっと調査兵団に入団することができる





それまでエレンとは別行動





エレンはリヴァイ班に加わり、今後は行動するらしい





そして、審議があった日から数日後





事件が起きた





憲兵「最後にシャフトを交換したのはいつだ?」





サシャ「6日前の、掃討作戦の後です」





憲兵「記録通りだ」





憲兵「よし次!お前だ」





クリスタ「42班所属 クリスタ・レンズです」





私達は今、自分の使っていた立体機動を確認されている





理由は、捕らえた2体の巨人が何者かによって殺されたからだ





情報曰く、巨人を殺す時逃げる時、犯人は立体機動を使っていたらしい





だからこうして今私達は、犯人を探し出すために立体機動を確認されている





「巨人を殺して罰せられる事もあるんだな」





「変な話だけど、貴重な被験体だったし」





「だからって、何で俺ら訓練兵の中で犯人探しなんだ!」





「あぁ 皆んな今日まで続いた戦場の処理で、憔悴しきっているのに」





コニー「巨人が憎くてしょうがなかったんだろうな」





アルミン「うん でもこれじゃあ、巨人に手を貸したようなもんだよ その人の復讐心は満たされたかもしれないけど、人類にとっては打撃だ」





コニー「俺はバカだからな わかる気がする 巨人を見る前は、俺本気で調査兵団になるつもりだったんだぜ けどもう2度と見たくねぇ 今日、所属兵団を決めなきゃいけねぇのに…………」





そう言ってコニーはジャンを見た





その理由が私には分かった





昨日、ジャンが言ったことだろう





コニー(ジャンの奴、本気で………)





[昨夜]
パチパチ





目の前で、死んでいった兵が燃えていく





骨になり、そして灰になって消えて行く





最終的には、誰かなんて分からなくなる





こう言う時に、改めて世界の残酷さを知る





ジャン(皆んな、後悔してる こんな地獄だと知ってりゃあ、兵士なんか選ばなかった 精魂尽き果てた今、頭にあるのはそればっかりだ)





ジャン「なぁマルコ もうどれがお前の骨だか、分からなくなったよ」





ジャンは近くにあった骨を拾い、小さくそう呟いた





マルコ…………





マルコが死んだと知った時、私は信じられなかった





いや、信じられなかったんじゃない





信じたくなかったんだ





心の何処かで、仲間は誰も死なないと信じていた





この残酷な世界で、そんな事あるはずないのに





ジャン(兵士になんかならなければ、次は誰の番か何て考えずにすんだのに)





エレン『何十万の犠牲で得た戦術の発達を放棄して、大人しく巨人の餌になるのか?』





ジャン(分かってんだよ 戦わなきゃいけねぇことぐらい でも、誰もがテメェエレンみたいな死に急ぎのバカにはなれねぇ)





マルコ『怒らずに聞いて欲しいんだけど、ジャンは強い人ではないから、弱い人の気持ちが良く理解できる それでいて、現状を正しく認識することに長けているから、今何をすべきか明確に分かるだろ?』





ジャン(今、何をすべきか………)





ジャンは急に立ち上がり、私達の方を向いた





そして、口を開いた





ジャン「おい、お前ら 所属兵団は何にするか決めたか?俺は決めたぞ………俺は………………俺は…………………調査兵団になる!」





ジャンは震えながら、そう言っていた





[現在]
コニー「クソ……………なぁアニ お前どう思った?あのジャンが調査兵団になるって言ってんだぜ」





アルミン「え?!ジャンが?」





あなた「………………」





アニ「別に……」





コニー「お前は憲兵団だもんな やっぱり俺もそっちにした方が良いかな?」





アニ「アンタさぁ、人に死ねって言われたら死ぬの?」





コニー「なんだそりゃ………死なねぇよ」





アニ「なら、自分に従ったら良いんじゃないの?」





コニー「……………」





アニ「アルミン、アンタはどうなの?」





アルミン「え?僕は……………死ぬ理由が理解できたら、そうしなきゃいけない時もあると思うよ 嫌だけどさ」





アニ「そう 決めたんだ…………」





アルミン「前からそのつもりではあったんだけど……」





コニー「マジかよ アルミンお前まで……………」





アニ「アンタ、弱い癖に根性あるからね」





アルミン「あっありがとう アニってさ、実は結構優しいよね」





アニ「は?」





アルミン「だって、僕等に調査兵団に入って欲しく無いみたいだし 憲兵団に入るのも、何か理由があるんじゃ無いの?」





アニ「別に 私はただ……………自分が助かりたいだけだよ」





あなた「………………」





皆んなそれぞれの思いがある





いくら人の意見を聞いたって、最終的に決めるのは自分だ





説得されて自分の命や未来が決まるなら、誰も苦労なんかしない





でもそれはただの人形と同じ





絶対後悔する





自分の事は自分で決める





後悔するくらいなら、自分の選択で後悔した方が、納得がいく





そしていよいよ、その時になった





皆んな、まだ迷っているみたいだった





当たり前だ





巨人の恐怖を目の当たりにして、それでも尚、巨人に立ち向かおうとする人はそんないるもんじゃ無い





壁の外に出れば、命の補償はない





恐怖に打ち勝つ程の原動力





それが壁の外では必要だ





それを持っているか、持っていないか





皆んながどんな選択をしようと、間違ってない





ただ、その選択に後悔だけはしないで欲しいと私は思った





その時





アルミン「ジャン!」





ジャンが歩いて来た





アルミン「本当に調査兵団に?」





ジャン「あぁ……」





サシャ「どうして突然?その…………怖くは無いのですか?」





ジャン「はぁ?嫌に決まってんだろ、調査兵団なんて!」





コニー「え?じゃあお前何で…………?」





ジャン「別に巨人が怖く無いから、そう決めたわけじゃねぇよ」





コニー「え?」





ジャン「それに、有能な奴は調査兵団に入るべきだ、何て言うつもりもない 俺は死に急ぎ野郎とは違う」





コニー「エレンか アイツはとっくに、調査兵団に入ってるんだよな」





あなた「エレンは、巨人が怖く無いから、死ぬのが怖く無いから調査兵団に入ってるわけじゃ無いと思う」





アルミン「え?」





あなた「恐怖を上回る何かがエレンにはあって、それがエレンの背中を強く押してるんだと思う それが誰しもあるわけじゃ無いし、皆んなが恐怖を乗り越えられるわけじゃ無い それに、これは自分の選択 自分で決めなきゃ、きっと後悔する」





コニー「あなた…………」





あなた「自分の選択を信じたら良い 誰も間違いだなんて思わないから」





憲兵「訓練兵、整列!男女正面に並べ!」





その時が来た





ジャン「俺はなぁ、誰かに説得されて自分の命を賭けてるわけじゃない こればっかりは、自分で決めずに務まる仕事じゃねぇよ」





そう言って、ジャンは整列しにいった





































エルヴィン「私は、調査兵団団長 エルヴィン・スミス 所属兵団を選択する本日、私が話すのは率直に言えば、調査兵団への勧誘だ 今回の巨人の襲撃により、諸君らは既に巨人の恐怖も、己の力の限界も知ってしまった事だろう しかしだ、この戦いで人類は、これまでに無いほど勝利へと前進した エレン・イェーガーの存在だ 彼が間違いなく我々の味方である事は、彼の命懸けの働きが証明している 更に我々は、彼によって巨人の進行を阻止するのみならず、巨人の正体に辿り着く術を獲得した」





その言葉に、その場にいた皆んなが驚いた





エルヴィン「彼の生家があるシガンシナ区の地下室には、彼も知らない巨人の謎があるとされている その地下室に辿り着きさえすれば、我々はこの100年に渡る巨人の支配下からら脱却出来る手掛かりを掴めるだろう」





ライナー「地下室だと?」





「もうそんな段階まで来てるのか?」





「巨人の正体が分かれば、この状況も…………」





アルミン(いくら兵士を集めたいからって、その事まで公にするだなんて それとも、何か意図が?団長は一体、何を見ようとしているんだ?)



























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