【相田咲紀】
直接はっきり?無理でしょう?
たしかにアウトドアは苦手。ましてや山なんて、虫が多いから嫌いだった。でも、ナキがアウトドア好きだから一緒に行けたらいいなぁって……。
やっぱり波瑠さんは気遣いの人だな。
洗面のところにバスボムが入った箱があって、「好きな香りがあったら使って」とメモ付き。
ラベンダーの香りのを入れてゆっくりお風呂に浸かった。
そう微笑んで波瑠さんはリビングを出ていく。
ドライヤーをかけてある程度髪を乾かしながら、旅行について考え始める。
アピールって何したらいいのかな。ナキにアピール?好きって言えるわけないし、ベタベタ触る訳にはいかないし、でもいつもと同じだとアピールにならないし……。
服どうしよ……青とか取り入れた方がいいかな。温泉って事はすっぴん……?待って、無理かも。
ドライヤーを同じ場所にずっと当てていたからか、頭皮が火傷しそうになった。
気がつけば髪は乾いていたのでドライヤーをしまう。そして、うとうとし始めた。
丁度昨日干したばかりなの、と嬉しそうに言うから、お言葉に甘えて寝室で寝ることにした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!