第6話

僕らは後悔していた。
26
2024/02/28 10:52
僕は走った。
太陽のように輝く髪を。

まばゆく光が飛び散る世界を。

青空によく似合うキミの髪を。
すみません!!
ナナ
…………。
あ、あの…!!
ナナ
…………
ナナ
…それ、私に言ってるの?
ハーフなのか…?

日本人とは思えないほど綺麗な顔立ちをしている。
あかり
ちょっと!!
突然あかりがナナに抱きつく。
あかり
あんたなんかがナナに話しかけていいわけないでしょ。
かな
そ、そうよ!!あんたなんかが触れていいような人じゃないの…!
ナナ
…………。
…………さい…。
あかり
……なに?
あかり
ぼそぼそ喋んなよ。
うる……い…。
僕はケッシンする。
うるさいって言ってんだよ!!
僕はあかりを突き飛ばし、ナナの手を掴む。
あかり
きゃっ……!?
かな
あかり!?
僕は馬鹿みたいな顔をしている2人に見向きもせず、ナナを引っ張る。
ナナ
………
なにも考えずに、体育館裏まで走ってしまった。
………
……その、ごめん。
ナナ
………べつに。
ただキミが、2人のことを迷惑そうにみてたから…。
それで…。
助けてあげなきゃって…勝手におもって…。
あのとき、ナナの姿とソラの姿が重なった。
ここで僕が助けなかったら、また僕のせいで死んでしまうのではないかと思ってしまった。
もう、後悔はしたくない。
ナナ
…………。
ナナ
べつに、なんとも思ってない。
ナナ
あいつらは馬鹿だから。
ナナ
自分よりも、より高いレベルの人と一緒にいないと自分が惨めにみえてしょうがないんだよ。
ナナ
あいつらも、あいつらなりに自分を保とうとしてるし、自分で自分を傷つけてる。
ナナ
でも、あいつら馬鹿だから。馬鹿みたいな方法しか思いつかないんだよ。
ナナは吐き捨てるようにそういった。
もしかして、ソラもそうだったのかもしれない。
僕からみたら、ソラは完璧な人間だった。
でも、実は、
ソラも周りの人間と変わらなかったのかもしれない。
周りからすごいと言われれば言われるほど、完璧じゃない自分が、すごく惨めに見えていたのかもしれない。
周りの人に見せる完璧な自分と誰にもみせない完璧じゃない自分。
完璧じゃない自分にとって、すごいという言葉は刃物だったのかもしれない。
完璧な自分が完璧じゃない自分を「すごいという名の刃物」で刺していたのかもしれない。
……そうだな。
みんな、自分で自分を刺すことでしか、
自分を保っていられないのかもしれない。
刺されてないと、惨めな想いを思い出すのかもしれない。
だけど。
「かもしれない」で終わってほしいんだ。
僕は、ナナの手を握る。
多分で終わってほしいんだ。
頼む。
なんで、ソラが自殺するまでに追い込まれたのか教えてほしい。
ナナ
………

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