第23話

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2019/01/07 06:47
キレイな女性
あぁ、大丈夫よ
そう言って微笑みをうかべる女の人は、近くで見るとさらにキレイ。

だけど、化粧が濃く、鼻をつく香水の香りもきついせいか、派手な印象も受ける。

この学校は学年によって男子はネクタイ、女子はリボンの色が違うんだ。

私たち1年生は赤色のネクタイとリボン。

目の前にいる女の人は、青色のリボンだった。

ということは、2年生の先輩だ!

先輩だなんて、なんだか緊張しちゃう。
You💕
あの、私に用っていうのは……?
キレイな女性
ここじゃ話しずらいことだから、場所を変えましょう
You💕
は、はい!
私は言われた通り、先輩のあとを歩いていく。

初対面の私に、なんの用だろう?

想像もつかないなぁ。

ちょっと不安になりながらも首をひねっていると、いつの間にか体育館裏に来ていた。

あれれ?

いつの間にかこんなところまで来ちゃった。

ここってあんまり人通らないし、ちょっと怖いんだよなぁ…………。

そんなことを考えていると、不意に前を向いて歩いていた先輩が足を止めた。

腕を組んで、こちらに背を向けたまま、先輩がそれまでの静寂せいじゃくを切り裂いた。
キレイな女性
真司郎って、キスがうまいのよ?
You💕
え………………?
突然の言葉に、思わず言葉を失う私。
キレイな女性
すごく情熱的なキスをしてくれるの
You💕
………………っ
なにか言おうと思うのに、喉がぎゅっと締め付けられてしまったように、言葉が出てこない。

なんでだろう。

なんで、胸がキリキリって痛いの?
キレイな女性
なのに……。なのに、あんたと絡んでから、真司郎は私と遊ばなくなったのよ!
先輩がそう声を上げ、キッとこちらを振り返った。

その顔は、さっきまでの穏やかな表情じゃない。

すべての憎悪ぞうおを私に向けている、そんな表情だ。
キレイな女性
私が中学卒業するまでは、いくらでも遊んでくれたのに…………っ
ちがう……。この先輩はなにか勘違いしているんだ。
You💕
私と與くんが知り合ったのは昨日です
って否定したいのに、声が出てくれない。

先輩はキッと睨みつけるように私に近づき、耳元に口を寄せ、いちだんと低くした声で囁く。
キレイな女性
あなたは真司郎のことを誤解してるのよ。
恋愛を遊びとしか思ってないから、特定の彼女は作らないし、彼氏がいる女とでも簡単に遊ぶような、わるーい男だったのよ?
フンと鼻で笑う先輩。

私は思わずぐっと拳を握りしめていた。

たしかに私は、昔の與くんのことを知らない。

だけど…………先輩の言葉が引っかかるの。
You💕
あ、與くんのこと、悪く言わないでください…………っ
先輩よりも、與くんと過ごした時間は遥かに短い。

だけど、私が知ってる與くんは、先輩が言うような"わるい男"なんかじゃないってそう言いきれるから。
キレイな女性
は?
とっても怖いけど、私は精一杯の声を張り上げた。
You💕
さっきの先輩の言葉、取り消してください…………!
みるみるうちに、怒りで赤くなっていく先輩の顔。

だけど、ここで引いちゃダメだ。

さっきの言葉取り消してもらうまでは。
キレイな女性
黙りなさい…………!
そう叫んで、先輩は目を吊り上げたまま、近くにおいてあったバケツを持ち上げた。

そのバケツを見て、ハッとした。

『園芸部』と書かれたバケツの中には、たんまりと水が入っていて……。
キレイな女性
あんたなんか、びしょ濡れがお似合いよ!
先輩がバケツを私に向けて振りかざした。

ダメ……、濡れちゃう…………っ。

──助けて、與くん…………っ。

ぎゅっと目を閉じた瞬間、なぜか與くんの顔が浮かんだ。

次の瞬間──────

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