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第1話

濁った世界
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2017/08/22 12:33
 あぁ、なんてつまらないんだろう。この世界、全てが濁って見える。
いつからだろうか。こう感じるようになったのは。それは私にもわからない。心が汚れてるからだろうか。それとも、この世界が本当に濁っているからなのか。

いつも決まった時間に、いつものメンバーと、いつもと同じ道を歩く。でも、今日は違う。少し寒くて、雪が溶け始めたこの季節。私は中学校の制服を着て、いつもより早い時間に、いつもと同じメンバーとこの6年間、いや、5年間通った小学校へ向かう。

私は、2年生の頃この学校に転校生としてやってきた。転校してきた理由はイジメ。前の小学校で私と、4つ上の兄は、ハーフだからという理由でいじめられた。兄は私と違って肌が黒い、それだけの理由でいじめられていた。その兄をかばった私もいじめられた。しかもそのいじめっ子は年上の5年生。1年生いじめるなんて、今思うと、本当に馬鹿だと思う。ランドセルに草を入れたり、顔を殴ったり、本当に幼稚だ。私が骨折した時、心配とかしてきて、本当に都合のいい奴だ。
いじめのこともあり、少し離れたところに引っ越した。
新しい学校のみんなはすごく優しくて、心の傷が癒えてく気がした。でも、この人も?と疑う自分がいた。

今日は卒業式。いろんな思い出がよみがえってきた。思い出す。みんなと一緒に笑ったこと。私も笑っている。でも、心の底から笑えたことは一度もなかった。

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