翔 えっ……?
そりゃ、驚くよね。
というか、困ってるかな?
翔 うん、ありがとう。
でもごめん。俺、好きな人がいるんだ。
だよね、知ってたよ?
そんな困った顔で、無理に笑わなくていいのに。
あなた うん、知ってた。
沙羅ちゃんでしょ?幸せにね。
すると翔くんはいつもの優しい笑顔を浮かべて
翔 うん、ありがとうあなた。
と言った。まっすぐ私の目を見て。
翔 あなたが俺のこと好きなんて、
考えたこともなかった。
俺にとっては可愛い妹みたいな感じで…
あなたの気持ちに答えられなくて、
ほんとにごめん。
でも、これだけは言わせて?
好きになってくれたのがあなたで
嬉しいよ。ほんとにありがとう。
泣きそうになった。
今までずっと言いたかったこと。
好きだって、やっと言えた。
それにそんなこと言われたら
嫌いになれない、もっと好きになっちゃうじゃん…
あなた うん、聞いてくれてありがとう。
じゃあそろそろ戻るね、
お邪魔しました。
翔 うん…
お隣だから!
だからその…また、話したりとか…
なにそれ。
それは翔くんの優しさだってわかってる。
気まずくならないように、
これまで通りに接することができるように。
でも、今は苦しいかな、
そのうち、
いつか私の傷が癒えたとき___
は来るのかわからないけど、
そのときは、また笑顔で話せたらいいな。
私は素直にそう思った。
だから__
あなた また、話しましょう、いつか。
そのいつかは来るかな?
わからない。
でも、私、今、
すごくスッキリしてる。
気持ちが、楽。
ありがとう翔くん。
さよなら私の初恋。
こんにちは失恋さん。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。