第58話

◊*゚年下彼氏の一面 ◊*゚
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2018/05/06 06:06

翌日が来てクリスマス、今日も彰都くんと一緒


彼は部活大丈夫なのだろうか
蒼依
おまたせ
彰都
昨日ぶり

ほんとにね


今日は両親が居ない私の家でのんびりと過ごす予定だ


クリスマスの日に彼女の家に行くという彼は何を考えているのだろう


もう純粋ではない私の考えは夜はつまりそういう事を考えてしまう


……下着の色今日何色だっけ。
彰都
先輩の家初めて
蒼依
あまり期待しないでね

昨日めちゃくちゃ部屋を掃除した


床にはコロコロをしてフレグランス何かも買ってみた


生きててこんなに女子みたいなことをしたのは初めてだ
蒼依
あ、こっち

指をさした方に曲がって私の家へ


車道側をさりげなく歩いてくれてそんな所も優しくてカッコイイと思ってしまう


惚れたらもう相手がめちゃくちゃかっこよく見えるのは私だけではないはず。


20分も歩くと私の家についた


玄関の扉を開けるとシンとして誰もいない
彰都
おじゃましまーす
蒼依
どうぞ〜

正直この家には誰にも呼びたくなかった


親がいる間は特に。


だけど彰都くんなら大丈夫。そう思った


両親が明後日まで居ないことに多少なりとも感謝した。感謝したくないけど
蒼依
適当に座ってて、お茶とアップルジュースどっちがいい?水もあるけど…
彰都
ジュース!

何故かピシッと手を挙げて目をキラキラさせている


何だこの男は。可愛すぎじゃないか??


ジュースだけでこんなにキラキラさせるのは小学生だけかと思っていた


冷蔵庫からアップルジュースを取ってコップに注ぐと彰都くんの前に出した
彰都
ありがとう

うっ…


今まであざっす!だったのにタメ口になったらありがとうに変わるのか…


好き……っっ


最近私彰都くん好きすぎじゃないか
蒼依
ていうかこの家ゲームも何も無いから来ても暇だよ?

マンガ本はあるけど全部少女漫画だし…


ホントこの家最低限の物しかないな…
彰都
平気、ただ2人で居たかっただけだし

……こういう事をサラッと言うんだから……


私だって2人きりで嬉しいし…
彰都
おっ、こたつ温まってきた
蒼依
え、入れてたの
…あ!暖房入れようか?!
彰都
うん、ありがと

リモコンで暖房を起動させた
蒼依
何する?

特にやることも決めてなくて困った
彰都
実はDVD持ってきたんだよね
蒼依
そうなの?
なになに、何持ってきたの?

カバンからDVDのパッケージを4枚出した彰都くん


そこには恋愛映画やSF、ホラーなど色んなジャンルがあった
彰都
何みたい?
蒼依
ん〜〜、じゃあ…これ

私は恋愛映画を選んだ


こう見えて恋愛映画や恋愛漫画、恋愛小説は大好きだ


パッケージのうら面を読むなり感動系なのかな


DVDをデッキに入れると画面から読み込み中の文字


しばらくすると映像が変わり物語が始まった


付き合って5年のカップルが幸せの中急に彼氏のガンが発覚して彼女が彼氏のために全力を尽くす物語


王道の感動系ラブストーリー





彼氏
〝僕は、こんな…す、てきな…人の…彼氏になれて、幸せだ……〟


終盤に掛かってきて彼氏がもう病室で弱りきっている


話すことも苦しそうでツラそうで何故か私が泣きそうになる


それほど俳優さんの演技が上手いのだろうか
彼女
〝私も…あなたの彼女になれてとても幸せよ…〟

彼女が彼氏の手を握った

好きな人が…ましてや結婚の約束もしていた人がもうすぐ居なくなる


その恐怖を私は知っている


大切な人が亡くなる悲しみを…知ってる


だからこそ感情移入して今にも涙が出そう




彼女
〝でも…っ、あなたの居ない日常でこれから私は、…幸せになれるかしら……〟
彼氏

〝じゃあ…のこ、り…の、幸せを…君…に、プレゼントする…〟



…素敵な言葉…


彼女は泣き出しながらも彼氏とキスをした


その言葉は彼氏の最期の言葉だった___


言葉を発するのもツラかった筈なのに彼女と話してその翌日の朝、帰らぬ人となった


彼女は彼の最後のプレゼントを受け取り前に進み出す


画面にfinと出て映画は終わった
彰都
先輩、大丈夫?

もう涙を溢れ出している私を見て彰都くんは涙を拭ってくれた
蒼依
感動した……
彰都
俺も泣きかけた

彼氏の最期の言葉が素敵過ぎて頭にまだ残っている
彰都
先輩泣きすぎ

軽く笑いながらもまだ涙を拭ってくれている
蒼依
だって…っ

自分でも涙を拭うと彰都が抱きしめて来て小さな子どもをあやすように頭を撫でてくる
彰都
感情移入しちゃうくらい先輩が優しいってことでしょ

映画で感動して泣いているだけなのにこの優しさ


こんなに優しい人と恋人同士になれる事に幸せを感じた



私の涙が完全に止まって落ち着いた頃映画の俳優さんの事を考えていた
蒼依
彼氏役の人カッコよかった
彰都
あー、人気だよねあの俳優さん
先輩もあーゆー人好きなの?
蒼依
顔は好き

はっきり言うと顔がドストライクだ
彰都
でも先輩の1番は俺でしょ

何だこの自信ありの言葉


確かにそうだけど少しイジワルを言ってみようかな
蒼依
…残念ながら私の1番はこの人です
彰都
えーー!?
駄目!!俺でしょ?!
蒼依
あ〜この俳優さんかっこいいな〜〜

効果は抜群で悲しそうな目をしている


……罪悪感がすごい
彰都
先輩は俺のだから!!
蒼依
私は私のです

この言い合いが楽しい


笑っていると視界が動いた


……え。


気づけば私は寝転んでいる


そして私に跨っている彰都くん


ゆ、床ドンだ……!感動……!!
彰都
先輩の1番は?

いつもより声が低い


口角が少し上がっている


え、待って。
蒼依
あ、彰都くんです……
彰都
よろしい

そして唇を重ねてきた


すぐに離れると彰都くんは舌を出してペロッと自分の口を舐めた


え、エロい……!!!


年下彼氏の恐ろしさとエロさを覚えた瞬間だった___

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