「あなたちゃん、この頃幸せそーだね」
「えぇ〜?そうかなぁ」
げへへへ。
きっとそれは涼くんのお陰です。
ん?なんで私涼くんのことが好きなんだ?
いつの間にか?何でしょう、私って…
やっぱりビッチっていうか気が変わりやすいっていうか…。
ま、いいや!…いいのか?
その日の夜のこと。
「いったぁぁい」
こんな私だけどお料理はお手の物っ!
顔で無理な分舌で満足させますよ的な!!的なね!?
(あなたは可愛いです)
でも、何ででしょう。
左腕を負傷いたしました。
指ではなく腕を切ってしまいました。何故!?
「いたいよぉ」
えぐえぐ。
「そんなこと思ってないでしょ」
お母さんに笑いながら言われます。
はい、私そんな女の子じゃありません。怪我しても自分の勲章?にしちゃう女の子です。はい。
次の日。
「ねぇ、綾音ちゃぁん、怪我したー」
制服をべろりとめくってみせると、いつも朝一緒に登校している綾音ちゃんはえー、とびっくりしてました。
「何やってんのあなたちゃん、大丈夫?」
綾音ちゃんってちょっと冷たいよね。全然気にしないけど。…気にしないけど。
「うん、だいじょぶよ」
私の勲章。うふふ。
あ、涼くん!
「お…」はよう。
言えないなぁ…おはようなんて…
恥ずかしすぎる!顔見るだけでも恥ずかしいのに!
そうしている間にも1時間めは始まって…今日もおはようって言えなかったなぁなんて思いながら数学の問題を解き始めた。
終わりの鐘が鳴ってぱっと顔を上げる。廊下を見ると、2年5組の君は、3組に来ているところだった。
(涼くん!!)
思い切り立ち上がると、ズキンっと腕が痛んだ。
(えぇー…さっきまでは痛くなかったんだけどなぁ…)
そう思いながら左腕の制服のそでをめくる。すると、傷が服に擦れていたのか、少し血が滲んでいた。
「うへぇぇ…」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。