猫の国でも、お互い見合いの写真でしか見たことがなく、その上人間の姿になられちゃあ、確認する術が無かった。
お互い、なぜか正座をして、顔を見合わせる
ミーシャは少し笑いながら答えた。
ならあの日、あなたちゃんと永瀬を尾行することになった日、向こう側の道から学校へと向かっていた黒猫は…ミーシャ、だったのか?
それなら、あの時俺が感じていたオーラは?
俺がそういうと、ミーシャは、目を見開き、" なんで知っているの!? " と言いたげな顔を見せる。
本当はこんな恥晒しなどしたくないが、ミーシャも俺と同じ境遇なら、この気持ちを分かってもらえるはず。
どれだけ自分が惨めで、愚かなものかということが。
" こんなこと、婚約相手の目の前でいう話じゃないんですけどね " とミーシャは照れ笑いを浮かべた。
…確かに、俺も目の前の人が婚約相手だということをすっかり忘れていた。なにか失礼なことを言ってないだろうか。
本当に、その通りである。でもどんなに自分を責めても、気持ちは変わらない。変われない。だから俺は、目の前の婚約相手とは、結婚できない。きっとミーシャも同じはず。
………ああ、そうか。
二人で協力すれば、この婚約を破談させることが出来るかもしれない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。