私はいつも通り美香に挨拶したと思う。
美香は一瞬笑ったけど、突然顔を固くして黙った。
その顔は泣きそうだった。
もう一度話しかけようとしたけど、そっとしておいた。
誰だって1人で考えたいこととかあるもんね。
教室のど真ん中から声がする。
1番派手なグループからだった。
優しくて私の親友のマリ。
そんなマリを私から奪った…ってかマリを独占するユキちゃん。
緊張知らずのナナコちゃん。
あとその取り巻き?
思わず声が出た。
だってあのグループに美香がいるんだもん!
なんで?
ゆずなは何か言いたそうに口を開いたけど、すぐに閉じてしまった。
多分、美香のことだろう。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!