第5話

欲張り
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2017/12/02 03:56
既読のついてない柊真とのトーク画面。


私が朝送信したっきりの状態。


スマホの時計は6時10分を指していた。


今は部活中だろーな。


だけど、絶対未読無視。


だって、お昼にTwitterを開いたら、ツイートしてたし…


もー、返信してよ…急ぎの内容じゃないけどさ…


…こういうのを束縛って言うの?


私、ウザイ?


重い?


「あはははっ!

もーっ!」


「…。」


隣のお姉ちゃんの部屋から大きなお姉ちゃんの笑い声。


あーイチャついてるなぁっ。


素直に認めますよ、羨ましーですよ。


正直言って、私たちは上手くいってないんだと思う。


多分柊真もそれを分かってる。


だからこそ、何も言わない。


ケンカして別れるのを恐れて、本心を見せない。


自分の本音を明かして、引かれたくない。


面倒って思われたくない。


柊真のこと、時々遠く感じるの。


柊真もきっと、私に隠してることがある。


何でもかんでも言え、とは言わないけど隠し事はして欲しくないよ。


他の人を好きになったのなら言って。


してほしい事があったら言って。


相談があるならしてよ。


私彼女だよ?


柊真は私に弱いとこを見せない。


そんなに私頼りないかな?


はぁ。


〜♪


手に持っていたスマホが振動して通話通知画面になる。


「えっ」


柊真?


私の胸が高鳴る。


私は恐る恐るスマホを耳に当てた。


「も、もしもし…」


《あ、出た》


あ、出たって…出るよそりゃ!


「どーしたの?

部活は?」


《今日早く終わったんだよ。

だから、一緒に帰ろーかなぁと…。

まだ学校にいる…?》


ドキッ。


柊真、一緒に帰ろって言ってくれてる…。


嬉しいっ!!


でも…


「ごめんっ、もう家なんだー…」


《そっか…》


気落ちした声を漏らす柊真。


「ほんと、ごめんねっ?」


柊真の部活が早く終わるって分かってたら30分くらい学校で待ってたのになぁ…。


《いや、大丈夫。

んじゃ。》


「うんっ…」


電話が切れる。


「ふふっ…」


少し話しただけなのに、一緒に帰れるか聞かれただけなのに、今までの不安がすぅーっと消えていく。


声を聞くだけで落ち着く。


柊真はちゃんと私のことを想ってくれてるじゃん。


一緒に帰りたい、一緒にいたいって思ってくれてるじゃん。


やっぱ、“もっとこうして欲しい”なんて思ったら私、欲張りだよね。

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