と、とりあえずバレないようにしないと……。
私はこそこそと広場の隅へ移動を開始した。
坂宮くんの大きな声にぎくりと体が固まる。そして程なく、二つの足音が真後ろまで近付いてきた。
はあぁぁぁあっ!?
え、なんで!?こんなに人多いのに偶然見つけられるとか、不運にも程があるんですけど!!
逃げることが不可能になってしまったので、私は苦し紛れに笑顔を浮かべて動揺を隠した。
坂宮くんの隣で吉沢がぽかんとしていた。
ぐいーっと広場の中心に立つ巨大なクリスマスツリーの前に押し出される。
何!?てゆーかここ周りカップルだらけ……!
ぐるんっと後ろを振り向くと、そこに坂宮くんの姿はなく。
左隣に、同じく押し出された吉沢がいるだけだった。
……消えた!?
広場を360゜見回してみるが、坂宮くんらしき人もいなければ点灯時刻まで2分を切っていた。
待って、吉沢と二人きりとかマジで無理なんだけど!!桃も帰ってこないし……お願い沈黙辛いよ早く!!
不意に吉沢が声を発し、私の肩は驚きと緊張とでビクッと跳ねた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。