え…?
どういう…こと…?
頭がついていかない。
4年前、中2の時…
あの公園で会ったのは…
先生…?
ウソ…。
でも確かにっ…
名前は一致してる。
顔もよく見たら、面影がある。
優馬くん…なの…?
でも…
「だって…苗字が違…」
あの時会ったのは、唐沢優馬くんであって…
成宮、じゃないもん。
「あー…親が離婚したんだよね〜
オレは母親に引き取られたから、苗字が変わったってわけ。」
困惑している私とは対照的に、優しく微笑む先生が答えた。
「え…」
そうだったの…?
じゃあ、あの時会ったのは…
正真正銘…目の前にいる…
先生…?
「っ…」
目頭が熱くなる。
先生の顔がぼやけていく。
ずっと待ってた。
この時を。
再会できる日を。
心の底から、待ち望んでいた。
「ずっと…逢いたかった…」
私がそう言うと、先生の手が私の頬に触れ、そっと涙を拭った。
「せんせぃっ…」
「“先生”じゃねぇ、“優馬くん”だろ?」
そう言ってニカッと笑う。
あ…。
笑顔が重なる。
あの時の優馬くんと…。
ほんとにほんとに、優馬くんなんだ…!
「優馬くんっ…優馬くんっ…」
「ははっ、なんだよっ」
もう一生会えないと思ってた。
こんな時が来るなんて、思ってもみなかった。
「もー、あなたが泣くからオレまで泣きそう。
こんなつもりじゃなかったのにさー。」
そう言いながら袖でゴシゴシと目をこする。
ホントだ、先生の目赤くなってる。
もらい泣き?
それとも、再会に感動してる?
どっちにしろ、先生が…優馬くんが、私に涙を見せてくれたことが嬉しかった。
「ふふっ…」
「笑うな!」
私がクスッと笑うと、…優馬くんが顔を赤くして言う。
照れ屋〜…。
そう言えば、前に会った時も…。
ふふっ、変わってない。
また笑っちゃう。
「はぁ〜…」
あ、ため息つかれちゃった。
呆れる優馬くんと目が合って、ふたりで笑った。
「「あははっ」」
幸せ。
幸せだよ、私。
そして、どちらともなく顔を近づけた。
そっと目を閉じてキスをする。
夢みたい。
4年越しの恋。
同じ相手に、私は2度も恋をした。
顔が離れ、優馬くんが微笑む。
優馬くんっ…
「やっと…」
じわ。
また涙で視界が霞む。
「やっと逢えたねっ…!」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。