第29話

やっと逢えたね
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2018/01/05 23:53
え…?


どういう…こと…?


頭がついていかない。


4年前、中2の時…


あの公園で会ったのは…


先生…?


ウソ…。


でも確かにっ…


名前は一致してる。


顔もよく見たら、面影がある。


優馬くん…なの…?


でも…


「だって…苗字が違…」


あの時会ったのは、唐沢優馬くんであって…


成宮、じゃないもん。


「あー…親が離婚したんだよね〜

オレは母親に引き取られたから、苗字が変わったってわけ。」


困惑している私とは対照的に、優しく微笑む先生が答えた。


「え…」



そうだったの…?


じゃあ、あの時会ったのは…


正真正銘…目の前にいる…


先生…?


「っ…」


目頭が熱くなる。


先生の顔がぼやけていく。


ずっと待ってた。


この時を。


再会できる日を。


心の底から、待ち望んでいた。


「ずっと…逢いたかった…」


私がそう言うと、先生の手が私の頬に触れ、そっと涙を拭った。


「せんせぃっ…」


「“先生”じゃねぇ、“優馬くん”だろ?」


そう言ってニカッと笑う。


あ…。


笑顔が重なる。


あの時の優馬くんと…。


ほんとにほんとに、優馬くんなんだ…!


「優馬くんっ…優馬くんっ…」


「ははっ、なんだよっ」


もう一生会えないと思ってた。


こんな時が来るなんて、思ってもみなかった。


「もー、あなたが泣くからオレまで泣きそう。

こんなつもりじゃなかったのにさー。」


そう言いながら袖でゴシゴシと目をこする。


ホントだ、先生の目赤くなってる。


もらい泣き?


それとも、再会に感動してる?


どっちにしろ、先生が…優馬くんが、私に涙を見せてくれたことが嬉しかった。


「ふふっ…」


「笑うな!」


私がクスッと笑うと、…優馬くんが顔を赤くして言う。


照れ屋〜…。


そう言えば、前に会った時も…。


ふふっ、変わってない。


また笑っちゃう。


「はぁ〜…」


あ、ため息つかれちゃった。


呆れる優馬くんと目が合って、ふたりで笑った。


「「あははっ」」


幸せ。


幸せだよ、私。


そして、どちらともなく顔を近づけた。


そっと目を閉じてキスをする。


夢みたい。


4年越しの恋。


同じ相手に、私は2度も恋をした。


顔が離れ、優馬くんが微笑む。


優馬くんっ…


「やっと…」


じわ。


また涙で視界が霞む。


「やっと逢えたねっ…!」

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