――放課後。
私と風磨君は生徒会舎まで呼び出されていた。
もちろんパートナーの提出用紙についてのことだ。
私たちの前には
生徒会長のHigh3組の伊野尾慧君。
その隣には、High1組の平野紫耀君と、同じクラスの岸くんがいる。
伊野尾「おい、どういうことだよ」
あなた「私に言われても……」
平野 「まぁ、あなたちゃんじゃそうだよな」
伊野尾「風磨!!どうして、拾った上にそれに名前書いて提出したんだよ!」
風磨「俺だって!誰かと踊ってみたかったんだよ!!!!」
その言葉に、生徒会の3人は急に検討会議を始めた。
岸「生徒会長!これどうにかならないんですか?」
伊野尾 「どうしようか……」
提出期限も切れてしまい、本来ならばどうすることもできないこと。
ですが、ことがことなだけに放課後緊急に呼び出されているのだ。
平野「こいうのって、生徒条約とかに載ってないんですかね?」
伊野尾「まぁ異例のことだからな……。決まりごとがないんだよ」
岸「だったら特例出したらいいんじゃないんですか?」
平野「それいいね」
伊野尾「そういう場合、校長の同意がいるよな~?」
岸「でも、これって生徒会で決めて交付すればいいんじゃないですか?」
平野「それいいの?」
伊野尾「まぁまだパートナーの発表してないし、変えることはギリ可能じゃね?」
2人「たしかに!」
伊野尾「じゃあ、そうしよう!」
話が終わったようで私たちの方に顔を向ける生徒会3人。
伊野尾「今ならパートナーの発表もしていないし、変更はギリ可能!ということで結論ついたけど……」
平野「あなたちゃんはもともと誰誘おうとしてた?」
あなた「えっ!?」
意外な展開に驚く私と風磨君。
私自身誰と踊ろうと思ってもいなかったので、どうしようもできなく、
「朝になっても決まっていなくて……」と正直なことをいってしまう。
伊野尾「なんだよ。せっかくいい案だと思ったのにな」
岸「そうですね〜」
平野「だったらこの提出書採用してもいいんじゃないんですか?」
伊野尾「たしかに、それもそうだな。じゃああなたちゃんは風磨でもいいの?」
あなた「まぁ……」
伊野尾「なんかよくわかんないことなったけど、これでいっか。2人はさっさと寮に戻れ!!」
私たちは寮へと帰された。
気まずく帰る私たち。
なにを話したらいいかわからない。
寮へと戻るのに、長い間の沈黙があった。
風磨「ごめんね。勝手に持ってたりして」
あなた「そんな気にしないでよ」
風磨「ならいいんだけどさ……」
隣を歩いている風磨君の顔を見るとすごく切なそうな感じ。
風磨「ホントは違うんだよ。廊下に落ちていたなんて」
あなた「えっ!?」
風磨「ホントのこと言ったほうがいいよな。って思って」
風磨君は少し間を置いてから話してくれた。
提出用紙が消えた真実を。
風磨「ごめんね。勝手に持っててさ」
あなた「そ、そうだったんだ……」
風磨「あぁ。どうしてもあなたちゃんと踊りたくて」
あなた「えっ!?踊りたかっただけじゃないの?」
風磨「違うよ。あなたちゃんと踊りたかったんだよ。俺・・・」
風磨「俺、あなたのこと好きだからさ」
私の隣で優しく彼は言った。
思ってもいなかったことに私は返事に戸惑ってしまった。
風磨「返事はいいよ」
あなた「えっ!?」
風磨「あなたちゃんが相手を決められなかったのって……好きな人がいないからでしょ。それに・校則でも恋愛禁止だしな。片思いはいいって感じだけど・・・・」
あなた「そっか。ごめんね」
風磨「謝んなって、じゃあな」
風磨君は走って寮のほうへと戻っていった。
初めて告白された私。
告白されるってこういうことなんだ、ってわかった。
心のどこかで申し訳なく思う。
誰もまだ『好き』と思えていない自分が情けない。
恋されるってこういうことなんだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!